飯田華子 (Iida Hanako)


飯田華子

2006年より自作の紙芝居でライブ活動を始め、酒場やライブハウス、ストリップ劇場など全国各地を巡業。
イラストや文章の仕事も細々と行う。
※ホームページ https://iidahanako.jimdofree.com 


 本文の方にも書きましたが、「舞踏家・坂口シモーヌの休日」は、2017年夏に「東京荒野」誌上に発表したものを、今回新たに改題・改稿して寄稿しました。
 書いた当時、主人公は自分より少し上の設定でしたが、現在(2021年)は同い年になりました。
 好むと好まざるとに関わらず、とりあえず「アングラ」と呼ばれてしまう界隈で私は自己表現を続けてきました。したがって、近親憎悪のようなものがいくぶんか投影された人物像となっております。
 主人公の年齢を当時の自分より少し上にしたのは、「まさか37歳にもなって自分がこのままなはずはない」とちょっと思ってたからでもあり、「37歳の自分がこれを読み返したら、『この女よりはマシ』と思うはず」というねじくれた願望もちょっとこめてました。
 しかし実際37歳になってみると、たいしてマシじゃありませんでした。残念なことです。
 ただ、この主人公の自己顕示欲や一種の「ゆるさ」のようなものは、もう今の若い世代の表現者にはないかもしれません。
 もちろん彼らにもむせ返るような自己顕示欲やゆるさはあるのでしょうが、この小説の主人公とはまた種類が違うように思います。
 2017年時点ではあまり意識していませんでしたが、2021年の今読み返すと、坂口シモーヌのありようは、まだ微妙に景気がよかった時代に幼少期を過ごしたゆえのもののように感じられます。
 そう考えると、彼女の年齢を37歳にしておいてよかったのかもしれないと思いました。


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