「プロレタリアの夢」 POGE

2021年10月26日

「プロレタリアの夢」

安いパスタを買ってきて茹でる
何もかけるものがないので塩を振る
タバコが吸いたいが金がないのでシケモクを吸う

部屋はゴミで溢れている
日々に疲れ綺麗にする気力がない
使い捨てマスクが山のよう

プロレタリア文学はあまり読まない
シモーヌ・ヴェイユのようには生きられない
しかし、飢えている

美しくもなく
正しくもなく
正義でもなく

夢も希望も憧れもなく
生きることにしがみついて
そのことを綴るだけ
電話料金の督促状がたまっている

これが現代のプロレタリアートだ
清潔で綺麗で美しい国の間に生きる
何も持たない声のない人間だ

人々の影に隠れ
下を向いて
歩いている
街の影に生きながら
空を見上げると
カラスが鳴きながら飛んでいる
ゴミを漁りに来たのだろう
彼らは賢い
微塵も恐れることなく
恥じることもなく
真っ直ぐに生きている
酒も飲まず
女遊びもせず
賭けもせず

静かに生きているだけで
毎日が急き立てるように
迫ってくる











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