「TASKEとは何者か?」春井環二

2021年12月10日

馬野ミキさんからTASKE論を書いてくれと依頼され、僕は迷った。
TASKEとは長年のつきあいがあり、彼のイベントでDJやピアニスト、怪談家としてしばし参加させてもらっているが、
実際僕は彼の何を知ってるのか。

結局たいしたことは何もわかってないに等しいと今さらながら気づいた。
秀逸な詩人であり、またNHK Eテレ『バリバラ』内で開催される日本一面白い障碍者(しょうがいしゃ)を決める『SHOW-1グランプリ』で二年連続の優勝を果たしたパフォーマーでもある彼の活躍については、
もしかしてこれを読んでいるあなたのほうが詳しいかもしれない。

字数がかなり限られた中、彼との思い出を振り返ってみる。

TASKEと初めて会ったのはもう15~20年くらい前だろうか。
ライブハウスで会った気がする。
当時はまだ消費税も5パーセントだった。
そんな時代だ。

だが、今は税率も10パーセント。
なお、消費税についてはさらにインボイス制度という惨烈な罠が今、僕たちを待ち受けている。

この制度についてまだよくご存じない方も多いかと思われる。

以下の内容は非常にざっくりしている。僕は別に税理士や会計士ではない。
いろいろ不備はあると思うが何卒御宥恕を願いたい。

まず消費税の仕組みについて簡潔に説明する。

・あなたが商品やサービスの代金を支払うとき、その額の10/110は消費税である。たとえばサイゼリヤで『サルシッチャのセルフサンドウィッチ』と『レンズ豆とスペルト小麦のミネストローネ』(合計900円)を食べたとき、その10/110にあたる81円分の消費税もあなたは払っている。
・そしてお店や業者は確定申告時に国にその額を消費税として納めている。

......わけだが、売上が1000万円以下の事業者はこれを納めなくても良い。そういう事業者は『免税事業者』となるのだ。

なお、そういった免税事業者に仕事を発注し、消費税を含んだ代金を支払った企業なども、
そのぶん国から消費税を免税される。

この売上が1000万円以下の個人事業者やフリーランスにまで結果的に消費税を支払うよう迫るのが、インボイス制度なのだ。

●邪悪!インボイス制度

インボイス制度が施行されると、適格請求書発行事業者番号というものを各事業者は国に申請して発行してもらうことになる。これを発行された事業者は消費税を納めなくてはならない。
この番号を申請しない選択肢もあるが、それはそれでデメリットがある......。

どういうことか説明しよう。
たとえばあなたが売上1000万円以下の個人事業者だったとして、
ある会社があなたに仕事を発注したとする。
そしてあなたが無事に仕事をこなして請求書を送り、相手があなたに代金を支払ったとする。

請求書にあなたの適格請求書発行事業者番号が記載されてあったら、
会社はあなたに支払った消費税分を、国に払わずに済む。これまでどおりだ。
(ちなみにそういう正確な適用税率や消費税額等を伝える請求書をインボイスと呼ぶらしい。なおinvoiceそのものはたんに英語で請求書という意味である)

だが、記載されてなかったら会社はその分をまた国に払う義務があるのである。消費税二回分を失うことになる。

ということは、依頼者はこの番号を発行されていない業者とあまり取引をしたがらなくなる。

番号を申請して消費税を払う課税事業者になるか。
これまでどおり免税事業者でありつつ、業界で干されていくか。
どちらかを選ばないといけないのだ。

免税事業者から課税事業者になるのは大変だ。
例えばあなたが500万円の売上がある個人事業者である場合、
その10/110である約45.5万円を突如支払うことになる。

手にするお金の一か月分以上が吹っ飛ぶかもしれないのだ。

これがインボイス制度だ。
2023(令和5)年10月1日に導入される。
足音が近づいているどころか、10月から登録事業者の募集はすでに始まっているのだ。

今国内の中小業者が危機に立たされている状況がおわかりいただけただろうか。

中小業者はこの国の産業の要である。
我々はこの制度に反対していかねばならない。
現実逃避という微睡み(まどろみ)の中に安らいでいる場合ではないのである。
目を覚ますなら、今だ。

●謎に包まれた表現者、TASKE

だいぶ話は脱線してしまったが、TASKE自体はそれなりに面白いアーティストだと思う。
ときどきイベントで彼の司会トーク中に僕がDJの特権で音楽を爆音でかけたりしたとき、
ボコボコに殴り狂うのには閉口するが。
ぜひ、TASKEを今後も皆で応援してほしい。

TAKSEはあなたの目をきっと覚まさせるだろう。