みきくんこんばんは 七 すなけちゃん(snake)

2021年12月19日

 みきくんこんばんは 七

     ノーザンプトンでの一番大きな思い出は空き巣窃盗事件です。 
     家が無いのに引っ越ししてきたので一週間のホテル滞在の間になんとか借りれる家を探さないといけません。
不動産屋さんをいくつか訪ねてみましたがなかなか借りれそうな物件がありません。賃貸は通常家具家電の有りと、何もなしの二種類があります。家具家電付きは単身向けなので子供と一緒は借りれないところが多いです。かといって何もなしの賃貸を借りてしまえば家具と家電を揃えるのに大変な出費になってしまいます。
 最終的にはどこも見つからず、通う予定の学校の事務室へ相談へ行きました。すると学校の生徒がシェアしている一軒家の二部屋分を払うなら貸してくれるところがありました。家賃は予定の倍の額になってしまいましたが仕方ありません。家は心地よくとても気に入りました。自分の荷物は衣類くらいしかなくて、貴重品は持ち歩いていました。学校にはロッカーがあるので日中はそこに入れて鍵をかけています。
 そんなある日学校でいつもどおり靴を作っていると事務の先生がやってきて、どうやら私の家に泥棒が入って近所の目撃者から通報があったらしい、急いで帰ってみて、ということでした。
学校を早退して急いで帰ると家の中は全ての引き出しがひっくり返されていてぐちゃぐちゃでした。警察がほぼ同時にやってきました。盗られたものがないか確認してくれというので、貴重品は部屋に置いていませんでしたが、何かなくなっているものがないか探しました。
     下着は全部あり、しかもパンツとかの引き出しはひっくり返されてすらいませんでした。パンツには全く興味が無かったようです。すると子供が自分の貯金箱が無いと言い始めました。お友達からお土産でもらったロケットの形のかわいい貯金箱で、床を見ると貯金箱の裏蓋が落ちていました。
    結局その貯金箱だけが被害にあい、中のお金数千円がなくなりました。あの後は片付けと警察の人がまきまくった指紋とりの粉の掃除で大変でした。ガラスも割られていたのでベニヤ板がしばらくの間貼られていました。庭は犯人が逃げたときに木に登ったらしく枝も折れていました。
     後日聞いた話だと犯人は空き巣を繰り返していて捕まったらしく、若い麻薬中毒患者の男性だったらしいです。あれから外出から帰ると家の中に泥棒が隠れていないかを確認する習慣になりました。現地で収入が無いので何もかも盗られてしまったら大変ですから。  
 そんなこんなで、あっという間に靴の学校時代が終わり、やっと日本帰れる頃には三〇歳くらいだったかと思います。






すなけちゃん(snake)