「少年は詩人に堕ちて」芦田晋作

2024年07月03日

「たはむれに手相を観る夜ひとの闇見るためのわが若き日の闇」 

「毒親のもとで暮らしたわれわれが今夜も毒の薄まるを待つ」 

「三年で聴こえなくなる音楽か高校の前通り過ぎ行く」

「沈黙が音楽の死でないように今のあなたも音楽である」

「千年の旅に出されし木乃伊とは心と離れたる日のわたし」

「詩人とは世に銃かくす素手の人」

「明日とは答えにされた問いのこと」 

「セザンヌがパリ震わせし林檎描く」 

「金魚とは誰かに飼われたるわたし」 





芦田晋作