「監視」ヒラノ

2023年12月23日

俺が幼少期を過ごしたのは千葉県習志野市の津田沼
グーグルマップで検索してもらえばわかる
スーパー団地街だった
公務員宿舎にJR東日本の社宅
それに住友セメントの社宅だの、社宅ばっかり
上空写真を見るといい
駅からしばらくは四角の建造物ばっかり
そこから先はのどかな景色となっていく

6歳になったあたりから留守番を任されるようになった

親父の仕事終わりに合わせて母ちゃんが一緒に食事をとるために出かけていく

きちんと俺の飯を作ってくれたうえで

子供がいたんじゃファミレスが精一杯だろう、仕方無い

初めてのお留守番、好きなテレビ番組が見放題だし、テレビ見てれば大丈夫、怖くない

が、あれは19時頃だったと思う
玄関のドアノブが
「ガチャガチャガチャ!」
「ガチャガチャガチャ!」
20秒ぐらいだったと思う、誰かがドアノブを開けようとしている

俺はといえば、「オバケなの?」とテレビの前でヘタレ込み、5分ほど空けてそーっと玄関の魚眼レンズを覗いた

誰も居なかった

母ちゃんがまた親父と待ち合わせして出かけた、待ち合わせ場所は東京駅の銀の鈴だったのかな?

また来た
「ガチャガチャガチャ!」
「ガチャガチャガチャ!」

なんなのこれ?
母ちゃんといる時にはそんな事、一切無かったし、その後も無い

俺がお留守番している時にだけ起こる現象

またお留守番、テレビに気を取られていると
「ガチャガチャガチャ!」
「ガチャガチャガチャ!」

来た!俺は震える
誰なの?オバケなの?


大人になった今、それなりにあれこれ見てきた

結論から言えば、あれはオバケじゃない
俺の母ちゃんの行動が監視されていたという事なのだろう
子供を置いて出かけた、それじゃあ503号室に行ってみるかと

とにかく、母ちゃんといる夜にそんな事は起こった事は一度も無い

俺の母ちゃんが監視されていた、とするのが一番スマートだと思う


とある医療機関に世話になっていた時に仲良くなった奴がいる
びっこを引いていた
彼は孤児で3歳で神戸の教会に預けられた

預けられたその年、そいつは若い神父に犯された
直腸破裂で緊急入院、後にまだ幼いのに精神安定剤を処方されるようになった
その後、どの様な経緯かは聞かなかったが東京の帝京大学病院の屋上から飛び降りた
一命はとりとめたが左足が動かなくなった

「その神父って今は何をしているの?」俺からの当然の質問
「神に赦しを乞うて今も神父をしているよ」

マジかよ?マジだよ
これが現実だよ

「ガチャガチャガチャ!」

あれってマジで誰だったんだよ?

幼児性愛者の犯罪をみると、容疑者は恐ろしいほど近所の住人である事例があまりに多い

「ガチャガチャガチャ!」

てめぇ、マジで誰なんだよ?

俺の母ちゃんの行動を監視して、何をしようとしてたんだよ?
監視カメラの普及も進んでいない時代、スマートフォンなんか無い世界

目視じゃねーか

物盗り?で無ければ…

「ガチャガチャガチャ!」

いる、いるんだよ、ニュースで見たでしょ?
あれ、マジだよ

見られている、監視されている

よーく見て、よーく見渡して
ネットはどう?SNSで個人情報、多めに提供してない?

目視の時代でこの精度だとしたら今の時代ってどうなるの?

数年前につきあっていた彼女の友人は職場から戻り、家に帰り、そしてベッドについた
ベッドの下から知らない男が出て来て乱暴された、と
それって都市伝説じゃないの?

事実です


「セコムしてますか?」
うるせぇバカ!




ヒラノ