「油塗れの整備工」西村太一
以前仕事をしないかと声をかけて拾ってくれたおじいちゃんが、君は車の整備工なんかに向いていると思うよ、なんて仕事の出来ない僕に言っていた。無論その道の険しさはぼんやり解るから、頭の中では確かにその職種の学校へ行きたいと思っていたけれど、残念ながらその道の希望は無い。車がマニュアル車からオートマに直ぐに移行して、その後はどんどん車が進化した。自宅から見える辺りに車検の会社があって、飛躍的に仕組みが進化した車関係の仕事人が居らっしゃる。確かに僕は昔そんな夢を見るような人間だったけれど、もののあはれのように無職で不撓不屈とは縁の無い生活で露命を繋いでいる。よくここの辺では、車検の会社の人を見かけるけれど、車に関係の無い僕は住む世界が違うので、へえ〜、仕事の方だと思うばかりだ。恐らくかなり勉強を...



