私誌東京

抒情詩の惑星 

人間復興ー

マスクのなかの声と言葉を

ごく一般のフツー人の、胸に
通じる詩、言語、表現力を提示していこうとする態度がこのサイトの趣旨です。
2021年10月1日創刊
今月の募集テーマは悪について。



イラスト:ぴき

久々に会った。もう10年は経っていた。その人と僕はミスタードーナツの葛西店の先輩と後輩、17歳と16歳の女の子だった二人を渋谷の夜、ナンパした。

僕は17歳だった子と付き合う事になった。ひどい事をした。ごめんね?
ありがとう、ごめんなさい。

誠志郎、せいしろうサン
彼は当時28歳で16歳のなっちゃんの後輩と付き合うようになったそうだ。俺はそこまでしか知らない。

それから十数年経って、21歳だった俺が30歳を過ぎ、誠志郎さんに会った。

「お久しぶりですね!」
「おう!」



「で、ですね、あの時の子、いたじゃないですか?」
「あの子とどうなったんですか?」
「あっ!あれ?、3回子供堕ろして、そんで3回目の後、あいつの母ちゃんが包丁持って来たから...」
「包丁っ?3回っ?えっ?そんで?...」
「ボコボコにしたよ」
...

まず
いちばん下までスクロール
コツン、と
底に
石が当たる音をきいて
「まあいいか」って
降りてった

他人の褌をつなぎ合わせて
そいつを伝って
降りてった



他人の褌で
傷口をおさえて

他人の褌で
首を吊り

他人の褌を振っていた


こびりついていた縮れ毛が

いま

音も立てずに

着地する


まず
いちばん下までスクロール
コツン、と
底に
石が当たる音をきいて...

陽物などという言葉もあるがさておき、すべての男の体の中には太陽が宿っているとして、その太陽に縦1.8センチ、横1.5センチのイボができた昌也はもう人前で裸になることはできない。だってとても大きいから。だってとても黒いから。ならば俺はこの先二度と誰かに本心を見せる事はないのだと知ってひとまず、六ヶ月洗っていなかった鍋を洗い、七ヶ月洗っていなかった風呂を掃除した。外ではセミが生きる生きると鳴いている。イボも勿論、生きる生きると盛り上がっている。

この世のカオスを端整な言葉に変換する。哀しい、文学だ。
あるいはこの世のカオスを徹底したリアリズムで追求する。
それかより醜い言葉で書く。
呪わしさ。高校生のころ、三島の「わが友ヒットラー」を読んだ。華々しい、気高い、卓越性。だけども、悪についてはあまり書いていないような気がした。悪とはもっと泥臭く凡庸な日常を含んだ小中学校のいじめをよりひどくした幼稚な計算だかさだと思う。
しかも、それは私たちの外に外在的にあるのではなく、私たちのうちに潜む、ろくでもないものだ。
卑小な私事だが、高校生のときに初めて観たエロビの単調さに私は興奮しつつも意識的な悪を感じた。

私の経験談が誰にも身近なように悪は身近にあると思う。



アレクセイ渡辺

「しばりくび」「逆張り付け」「くしさし」「のこひき」「ウシさし」「車さし」「火あぶり」「にこみ」

午前0時、六条河原に置いてかれる高校生は、アタシだ。

友達が不倫相手のおっさんと、会う会わないの電話をしていたとき

急に相手のおっさんが京阪の七条駅に来ることになって

そのまま置いてかれた

「しばりくび」「逆張り付け」「くしさし」「のこひき」「ウシさし」「車さし」「火あぶり」「にこみ」

終電もないしどうにかしないと
ただ怖かった

携帯の充電もないし、とりあえず
公衆電話から覚えている番号に電話した

半年前にふられた男のコの番号なら何度もかけたし覚えてる

置いてかれたの

どこにいるの

振られた人の友達がバイクに乗って迎えに来た

ほんとうにこのバイクに乗るのか
向こうで何があるかわからないのにと言った

...

俺たちが激しくアクセルを踏みすぎる頃
季節はまた新たにはじまった
すばやくパーキングにいれてキーを抜き取り
僕たちは
どうしようすきとかたぶん無理とかについて考えた
まったく平気ではない普段の日常を正しく間違える
好きな人のとなりで夏の終わりの自分を演じて
みんな今すぐ孤独をダウンロードしよう
小川テントの寝袋をぎゅうってしながら

あぁあって思う
サイレンの音も
トラックで揺れるこのアパートも
一体どんな意味を持ち合わせるの

水面に入るときの
あのつめたさばかりが
私の身を覆い
それはどこか
混沌に似ていた

私には子供がいた
それはもう死んだけど
その子は手のかかる子供で
友達だった

私の同い年の子供は
すごく小さな幼子を残して死んだ
ビルから飛び降りて
男に見つけられて
救急車に運ばれてった

警官はこそこそと
男に言った
あれはもうだめだって
そのことを私は男から聞かされた
男は警官を非道だって言った
私は警官にとっては
それが日常なんだよって感じた

私の子供はバカで
ずる賢く
かわいくて...

別れた中三の息子、実家の母とは連絡をとっているようで
俺には連絡を寄越さないがうれしい
ライブを終えて
恋人と家に帰ってきてえっちをする、というのは自分のデフォルト、基本であるべき概念だ
それが久し振りに叶った
ほんとうに久し振りにだ
僕たちは愛し合っている
互いに互いを触り触られたがっているし
それを気持ちいいと感じている
他の人に行使したら僕らのやっていることはセクハラだろうパワハラだろうハラハラだろう差別だろう暴力だろういじめだろうドМ性感だろう戦争だろうスーパー銭湯だろう集団自殺だろうその他でもあるだろう
だけれど
二人の間でそれがなされる時、
これは「愛」だといっていい
俺の顔を切り取ったLINEスタンプを作り、恋人に送る
俺の顔が二人のLINE間を飛び交う
いちゃいちゃしている

社長が飛ぶという噂が二週間ほど前から流れていた
PCの検索履歴に「飛行 事後処理」「飛び方」という単語が残っていたとか
隣の駅のドン・キホーテで羽用のワセリンを選んでいる姿が目撃されたとか
ときどき鉄腕アトムのテーマ曲を口ずさんでいるとか出所不明の情報が回って来た
最後のは社長の世代的に口ずさむならウルトラマンだろうと思ったが
そんな軽口を叩ける空気では無かった
極端なワンマン経営者である社長に対し
面と向かって真偽を問える人間は社内にいなかった
意を決した営業部長がこっそり警察の飛行課に相談しに行ったが
既に飛んだ人間の捜索以外は受け付けていないと門前払いされ
あいつらは駄目だ給料泥棒めと憤懣やるかたなく戻って来た
いつ飛ぶのか
飛んでどうするのか
それは飛ぶ本人にすら分からないのだ
...

「濃い」

物語朗読の熱量が苦手で文字にしてきた
泥棒がおる
メロディーを変えて返されたラブレターはキモい

イメージの著作権違反
お金くれたら耳塞ぐように無視する

剣がスポンジになってしまった騎士
靴磨きの少年みたいに近づく

スニーカーを履いていても
構わず
チップのために
どんどん磨こうとするのやめてよ

カラバ侯爵夫人のスクエアパンチ

奪った言葉は消してくれ

大きく誇張して返さないでくれ

カリオストロのエンディングみたいに
プロならそっと盗んで狼煙を上げろよ



「濃厚背徳飯マシマシ傾向に課金システムが推す」

並盛りに
熱量増し増ししてくる背徳飯野郎がおる
気色の悪いラブソングでラム以外が腿に手を這わせ誘って来たのかと

剣がスポンジになってしまった騎士はパイナップルの深夜バイトで日和る
指がパチンと鳴りそうなハートで迫ってくる隊列
...

「抒情詩の惑星」2021.2022「The Planet of Lyrics」2021.2022

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