ようこそ現代ポエムの世界へ

私誌東京
抒情詩の惑星 


専門家や愛好家ではなく、すぐ隣にいる誰かに通じようとする詩
ことばと人間復興ー

扉絵:Kanon


水滴は糸となっていくつかのこまかな溝を描いていった
胚葉の出逢いとわかれ またの出逢い
区切られた増殖し行く部屋そして部屋
早起き鳥がとおくで多分けたたましい
密林の呼気と吸気
立ち昇る大瀑布の脇を這いあがっていく大ヤモリ
水際ではあざやかに透きとおった紫の保護色で
いろどられたカエルが木洩れ陽をあびる
チョウの群れはいっせいに翼竜を擬態した編隊を組み
空が ひろがる

雨をよくはじく皮膚を持った瑞穂のウマは
蒸散する背中から霧をつくり
そうして反転した降りそそぐ草をもくもくと食んでいる
はてない砂原を渡り行く
灌木たちの隊列
風に枝が共振する 歌をうたっている

繫殖の季節になれば
大気中に平衡していたくさぐさの記憶が結合をくりかえし
何重らせんのフィラメントが生死のあわいを行き来しては
プラズマ プリズム
...

連日の深酒デ
醜惡に成り果てた私は
亭主の居ない時間を見計らつて
私に好意を抱いてゐたと思われる
女の住む一軒家を訪レた事があつた
其の玄関先でちらと見た赤子は
鯉のやうな口から乳臭ひ泡を噴いてゐて
少々意地悪な心持になつたり
・・・
赤子に乳をやる女の気配を
まだ真新しい襖越しに感じつつ
右脇腹を畳に押し付けるやうにして
乳児用のタオルケツトを枕にし
さふしてても肝臓の疼痛は治まらず
脂汗や慾求は止むことはなく
寧ろ持続的に波打ツ
鐵道三本も乗り継いできたのにだ
ぶつとい乳首から絞り出ス乳滴
ぽたりぽたりと板の間に
日本酒一合ほど恵んで貰ふ

その女に約十年分の日記を託して
わたしは帰つた




東京杉並区の、阿佐ヶ谷にある映画館Morc阿佐ヶ谷で、6月26日(金)から7月9日(木)までの2週間、「金子文子 何が私をこうさせたか」(浜野佐知監督)が上映される。
金子文子は、関東大震災のどさくさに、パートナーである朴烈とともに逮捕され、大逆罪という名目で獄中に投ぜられた女性である。映画は、主に彼女の獄中での日々を、フィクションを交えて描いていく。(このフィクションの部分には、かなり強く映画製作のスタッフが、どのようなメッセージを百年後の現在に伝えようとしたかが満ち溢れている。)
...

富士山静岡空港を離陸して
十数分後にベルトサインが消えると
キャビンアテンダントが客席の間を走る
遠くてよく聴こえないけれど
「お客さまのなかに
偉人の方はいらっしゃいませんか」
と訊いている気がする
キャビンアテンダントが
前の客席から私の横へ来たとき
たしかに
「お客さまのなかに
詩人の方はいらっしゃいませんか」
と訊いている
私は、あっ、と
しずかに右腕をあげた
キャビンアテンダントの淡い香水
鼻をつく柑橘系
「ありがとうございます
失礼ですが
お客様は現代詩手帖賞受賞者か
ユリイカの新人の方ですか」
私は小さくなって右腕をさげ
両の拳を膝においた
キャビンアテンダントは
一礼して後ろの客席へ向かう
後ろの方で勘違いした乗客が
「産婦人科医なのですが」
と言って断られていた
空を見ていると
混じりっけのない青が私を見返す

「わが地名論」連載にあたって
詩の中に地名を書くこと。その意味を探ること。これは僕自身の詩集に関わりながら展開する「わが地名論」。この連載を通して〈地名とは何か〉〈詩とは何か〉を考えてゆく。

十七歳
新宿駅構内で銃刀法で捕まった俺は数日留置所に宿泊した後
鳥取の実家へ帰った
家裁で無政府主義を支持すると言ったら怒られた

細かい話しですが、八百比丘尼は、伝説上の人物で人魚の肉等の特別な肉を食べた所為で、不老長寿を獲得した架空の尼僧です。僕のトリアタマには大鋸屑の程の物も入っていない。何の叡智も無い。Sさん、脳みそ取り替えて!迷っていないで。余興ですが自分の身体とsexを出来るのよ!...門前払いか。とほほ。間違え回答ですね。謎のまんまか。ま、僕の痩せている動きやすい仕上がりの身体は、誰にも捧げません。たった一つの答えにしか操を許しません。良いじゃないのこの程度ならってカラスは寛大だな。涙が出る程。僕は勘も必要ですね。大比叡(滋賀県)と四明山(京都府)に跨る双耳峰となるのが比叡山です。比叡山には最澄が創建した天台宗の延暦寺があり、親鸞聖人など多数の僧が修行、勉強をし、沢山の宗教が出来ました。ちょっとググっ...

この地球上、ざっくり分けると俺には3つに分かれている様に見える

はまなすが咲いていた。
はまなすが一株、咲いていた。
濃いはまなすが一株、茨城に咲いていた。

山田というボーイが、
故郷の花を、
裏口に勝手に植えたのだった。

ある日、
お前、お前って怒鳴られて、
「お前じゃねぇよ、
俺は山田昌之だよ」って、
殴って、店長の歯を折ったんだ。

辞める時、しゃがみこみ、
何してんだって聞いたら、
ここにも東北の子、来るかなって。

便所の裏、
コンクリートの壁、
テープで消された女の顔 。
はまなすが一株、咲いている。

ハセと近所の裏山にカブト虫をとりに行っていた
この山でカブトムシを見たことは無かったので、いないのだろうと思っていた
自分は昆虫全体に興味があったのでカナブンなども捕まえて虫かごに入れていた
ハセが「ミッキーそれとったからカブト出たら俺ね」と言った
ハセはカナブンやコガネムシに興味がないのに卑怯だ
麓にある精神病院にはキチガイを連れて行くと五千円がもらえるという噂があった
確かに山間の隔離施設で一度、扉を叩いていたお婆ちゃんを見たことがある
パワーショベルが置いてあり
病院から出た生ごみを捨てる大きな穴が開いていて
病院の人たちが食べた後の西瓜にカブトムシがひっついていた
ハセは真っ先にゴミ捨て場の穴に降りて行き

俺はそばに落ちていた15cmくらいの竹をハセに向かって思いっきり投げた
ハセは血だらけになった
...

あなたは「怒り」なのでしょう
空を刺すように突き出された「悪魔の舌」
まがまがしい赤黒い紫の花
腐肉臭を放ち40度近くまで発熱する

あなたは「臆病」なのでしょう
その球茎は芋 シュウ酸カルシウムの針状結晶
喉は刺されて炎症し嘔吐さえ催す
毒で身を守るあなたを食す者はない

毒は薬で 薬は毒で
古代華人は汁を煎じた
仏の教えと倭国に伝来
痰は切れるし 腹は整う
悪魔の舌を閻魔が抜いた

大和の民は 食物が乏しく飢えていた
何とかして食べる 何としてでも食べるという
その執念は 祈りに似て

毒の中和に石灰
分解されたグルコマンナン
消石灰のアルカリで凝固
それは架橋=Cross-linking

つながれた 手と手と手と手
誰の手も離さないで
剣も 銃も持てないように
Voodoo lilyの葉は傘のように垂れて 実は一枚葉...

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