「酔って暗雲を駆る」藤則
心に掛けていたものは漂い去り
私には紙屑の山だけが残った
来たときには何一つ持たず 去るときには
自分がまだ自分なのかさえ分からない
海へ深く沈み 呼吸の感覚も忘れた
光を背にまとい 忘却の果てにあるものを
巻き上げて ひとつの雲にする
私は灰色を選んだ
かつては灰色が私を選んだ
影のなかには私の過去が詰まっている
けれど私にはもう未来がない
紙切れにも劣らぬほどばらばらで
黒い文字をまとったまま
そのとき私は この一生をどう語ればいい
頭から暗雲へ飛び込み 灰色で
臆病も弱さも覆い隠す
もう誰も私をそう呼ばない
足を踏み出し 雲の中心まで歩いてゆけば
そこもやはり雲だった
訝しげな視線をすべて外へ締め出す
灰色は保護色だ
空の暗雲はますます増えてゆく
なぜだろう
私の亡骸が地球じゅうに散ったのか
それらが巨大な灰色の雲を織り上げ







