ようこそ現代ポエムの世界へ

私誌東京
抒情詩の惑星 


専門家や愛好家ではなく、すぐ隣にいる誰かに通じようとする詩
ことばと人間復興ー

扉絵:Kanon


心に掛けていたものは漂い去り
私には紙屑の山だけが残った
来たときには何一つ持たず 去るときには
自分がまだ自分なのかさえ分からない
海へ深く沈み 呼吸の感覚も忘れた
光を背にまとい 忘却の果てにあるものを
巻き上げて ひとつの雲にする

私は灰色を選んだ
かつては灰色が私を選んだ
影のなかには私の過去が詰まっている
けれど私にはもう未来がない
紙切れにも劣らぬほどばらばらで
黒い文字をまとったまま
そのとき私は この一生をどう語ればいい

頭から暗雲へ飛び込み 灰色で
臆病も弱さも覆い隠す
もう誰も私をそう呼ばない
足を踏み出し 雲の中心まで歩いてゆけば
そこもやはり雲だった
訝しげな視線をすべて外へ締め出す
灰色は保護色だ

空の暗雲はますます増えてゆく
なぜだろう
私の亡骸が地球じゅうに散ったのか
それらが巨大な灰色の雲を織り上げ

25連勤が終わって21時42分に家に着いた。数週間前に会社近くの駐車場で拾い、鍵入れにしたパチモノの革の小銭入れから鍵を出す。拾った時、中には723円入っていた。徹也はその金で晩飯を食った。このくらいの悪事がちょうどよかった。「東京」と書かれたキーホルダーのついた鍵で鍵をあける。食器用洗剤で手を洗い、パソコンの電源を入れた。fpsゲームを立ち上げ、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出す。よし、殺してやる。ログインしてガチャを回すと、二回目でボックスが七色に光った。眩しいほどのエフェクトの後、でかい音とともに欲しかった水着のレジェンドスキンが出た。さっそくキャラに装備する。徹也はためつすがめつ眺め、トレーニングルームに籠った。

時計になりたかった子どもが
今では振り子時計の部屋にいる
もう魂も蒸発しちまったっけど
一秒に一粒、泣く

それであの長針や短針は
ほそくそぞろに
錆びている 錆びて

秒針で咽を突きたかったけれど
振り子時計には
秒針が無くて
やっぱり自分が
時計にならないと
壊せない

振り子は
ゆっくり、ゆれ、片側へ
ゆっくり、ゆれ、もう片側へ
子どもは
一秒に一粒、泣く

子どもの泪は
とてもとても透明
それで
誰の目にも見えない

この長方形のなかで首を括る日の
あとも

誰も目にも 見られない


女が言うことは寒い、眠い、腹減った
広島名物カープ、ソース、ブス
犬も歩けばヘラにぶち当たる
ジジイの点滴もオタフクソース

毎日毎日、迎え酒。
業務スーパーで買った氷をグラスに入れてキンミヤ焼酎20度をそそぐ。
水道水をジャッと入れてポッカレモンを垂らす。
重めの二日酔いもなんとかバイト中に抜けた。
薄めのヤツが毎日呑むには丁度いい。
昨日はライブをヤッた。新曲をヤッた。
出てるヤツ全部良くてはしゃいだ。楽しかった。
打ち上げで行ったあの中華屋の蕎麦焼酎は効いた。安かったし(多分)また行きたい。
あっ!と言う間に終わってしまって寂しい気がしてきたけど本格的になる前に昨日の余韻で駆けつけ一杯。

これが私の毎日迎え酒の仕組みである。
友達が死んだって聞いた時もとりあえず酒を呑んだ(そういう時はまずビール)。
体調を崩したら呑まないっていうマイルールがあるんだけど、数年前にコロナになった以降は崩してないから毎日酒が呑める。
...

件の8/9の事の後
後ろ髪を惹かれつつ
現場から移動して

この橋の下で
イベントを終えた
ささやかな
アフター
パーティ。
宴の後の宴
心配されていた
集中豪雨が
滝の様に
一気に降り注ぐ中
いつもの様に
ビニールシートの上で
落雷や
豪雨もなんのその
気温もぐっと下がり
横殴りが差し込む中
たいして気にする事なく
ああだこうだの歓談。
煮え切らないお魚さんらと
長時間、灼熱の太陽の下で
煮え過ぎて真っ赤に焼けたお魚さんら
湿ったシートの上に
そのまま雑魚寝していた
朝になれば
嵐も
雨も止んでいました。

都立図書館にいった。
外は夏らしく普通に暑いが、館内に入ると寒くて鼻水と、苦沙味が止まらない。
とても書物に集中できない。
「冷房が効いていない場所や席はありますか?」と聴くと、「熱中症が怖いのでそういう場所はない」という。
私は熱中症より冷房が怖い。
結局、短時間で外に出る。外に出ると熱くてホッとした。
熱中症が怖いから即冷房というのが、いつの間にか、街づくりの、おかしな常識になっている。行政と建築家も風が抜ける方法などのデザインや工夫をせずにクーラーありきのスタイルしか提案出来ていないし、そういうのをつくるグループが入札を得る。
...

浅草押上の商店街に
にょきっと突きでた東京スカイスリーを見上げ
ウインダムだ
ほんとだ ウインダムだぁ
と はしゃぐおっさんふたりを
同年代のおっさんが これまた不思議そうにみつめている
ウインダムとの再会によろこびを隠さないおっさんと
彼と過ごした記憶をまったく失ってしまったおっさん
どちらも痛々しく思われるのは どうしてなんだろう

おっさんとはこれほどまでに哀れな存在なのか
今までおかしてきたかずかずのあやまちを
背負いつづけて生きることの意義を振りかえるとき
ふと股間にかゆみがはしり
それでもつぎの一歩を踏みだすべきか
正解などあるはずもなく
パンツに手を入れ ぼおりぼおりと音をたてる

そう 悲劇は
かんたんに喜劇へかわるんだよ
歳を取ればおのずと分別や常識が備わるものだと
思い込んでただただ待っていたという事実に
...

今から30年くらい前です。
突然、実家に来た男が玄関で言った。
「すんません。お宅の土地に勝手に家を建ててしまいまして、これはお詫びです」
そう言って、男はカニの包みを渡した。
父は「いやいや、それは困ります」と言って、急いで、中川家の離れた土地を見に行くと、すでに中途半端なバラックが建っていて、少女が汚れた顔で、遊んでいた。
とりあえずその家には、立ち退いてもらったのだが、その後訪ねると「男は別の犯罪で、網走刑務所に行った」と、ご近所さんが教えてくれた。
少女が何処に貰われていったかはわからない。
この辺りは「さんか」と言って、戸籍を持たない人が、山から降りて来て次第に定住した地域だ。
...

問題を出します。已己巳己、侃々諤々、魯魚亥豕、烏焉魯魚。この四字熟語の中で意味が全く違うものを答えて下さい。但し他3つも、多少意味は違います。読み方は順に、いこみき、かんかんがくがく、ろぎょがいし、うえんろぎょ、となります。簡単でしたか?消去法でも解答出来るかもしれません。已己巳己って面白くありませんか。答えは短文の最後に。悪銭身につかずなのでしょうか。臍繰りを企てても、お金なんてあまり貯まりません。この状況を禍転じて福となすといった具合に、うまく屋台骨を設けられないものか。全く不養生なのか、ニコチン、カフェイン中毒なのですが、どちらも摂るとほっとします。煙草を吸った次はインスタントコーヒーのブラック。特に顕著なのがカフェイン中毒です。食後や何かの最中に少し手を休めて、カフェインを摂る...

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