「トラウマは消えないけれど」つつみ
6時31分、今日は実家へ帰ることになっていたけれど、まだ誰も起きてなくて、もう少し眠ることにした。起きてしまうと、ゴミを出したり、荷物をまとめたりしなくてはならない。
目を瞑ると、水に浸した新聞紙の文字がにじむように、気になっていたことの輪郭が少しずつ崩れていく。私の既読を待つ母の顔、未開封の郵便物、母親としての心配ごとも。
そして、ほどかれた毛糸玉のようにばらばらになり、朝になるころには別の編み目で編み直されているが、私はそのほとんどに関与していないと思う。
おそらく、どこからかツチブタがやって来て、私の頭の中にある蟻塚のようなものを掘っているのではないか。そこには、昔、3日で辞めた会社のロッカーに置き去りになった私物や、優秀な妹と比較する叔父の顔、子育ての後に待つ親の介護なんかが埋まっている。...





