「タイムトラベルの失敗」馬野ミキ
故障したタイムマシンのなかでぼくはいま
一人ぼっちで朽ち果てていくところ
宇宙は広すぎて
どこにも不時着できない様
ようこそ現代ポエムの世界へ( ・෴・)
私誌東京
抒情詩の惑星
専門家や愛好家ではなく、すぐ隣にいる誰かに通じようとする詩
ことばと人間復興ー

扉絵:Kanon
故障したタイムマシンのなかでぼくはいま
一人ぼっちで朽ち果てていくところ
宇宙は広すぎて
どこにも不時着できない様
もう長いこと部屋に閉じ籠もっている。頭の中には春麗らかな景色が浮かんでくる。どうしてもって言われても、あたしあの人んちのことよく知らないから。あ、僕んちならここだよ。教えてあげて。本当は知っている筈。お願い。本当はほら、あそこの部屋なのは知っているんです。良い季節になってきたから、春の花霞のキレイなところへ連れ出したいんですけど。お兄さんちょっと一緒に誘い出すの、手伝ってくれませんか?1人では行けないの?それが、ちょっと顔見知りなだけで、家賃を戴いている大家の関係なんだけど。何やらそろそろ春の足音が聞こえてくる季節じゃないですか。あまり引き籠もりは良くないと思って。そうだねえ。良い物見遊山にでもなれば良いねえ。なんて絡んだあの方の話しから遠ざかっていく。何だ、行っちゃったの。で、気配が...
中学生の頃から
大人になるまで
私は下町で暮らしていた
おしゃれな町ではないけれど
職人さんが多い町だった
ある日
綺麗な大きい図書館ができた
新しくて
かっこいい
大学のキャンパスみたいな
建物だった
最初は物珍しそうに
いろんな人が来て
やがて
みんなが通う
人気の図書館になった
近所の主婦は
料理本を借りに
学生は
中高生優先席で勉強
オタクっぽいお兄さんは
パソコンコーナー
夏になると
ホームレスが
涼みに来ていたりもした
ある日
本を返しに行くと
さよならはさよならでしかない。
さよならはさよならでしかない。
俺はお前に別れを告げたにすぎない。
冒険の終わり 物語の果て
見出したものはない。
語るべきこともない。
さよならはさよならという言葉でしかない。
さよならはさよならでしかない。
さよならはさよならでしかない。
見出したものはない。
語るべきこともない。
だけど、俺の胸に宿るひとつの予感。
奇跡よりも日常を。
俺は奴隷の絶望も王の希望も信じはしない。
奇跡よりも日常を。
俺は奴隷の希望も王の絶望も信じはしない。
奇跡よりも日常を。
天国の頂から 地獄の谷底から
そんな所から見た景色を俺は信じはしない。
奇跡よりも日常を。
どうか信じる者が足元を掬われることがありませんように。
真実と正義の上にあぐらをかく時代は終わってしまった。
さよならはさよならでしかない。
...
途中採用のアル中の私は
途中採用の教員崩れのNに
消えてくれないかなあと標準語で
吐き捨てられるのも至極真当な成行
私も私でNに対して陰に隠れて
陰湿執拗な嫌がらせをしてゐた
さうしてコロナ禍に身冒され
互いに部署異動の島流しとなると
同類嫌悪の蒟蒻棒で殴り合うやうに
大型機械の猛りを浴びながら
人事部にも総務部にも助けて貰えぬ
貰えぬ上に工程表に沿つて
一万単位で商品は流れてくるは
十分単位で忌言を投げつけてくるは
私もNの立場を悪くしてゆく
告発なんかしませんでしたが
帳簿の角で小突きましたよね
社会に出て暴力受けたのは初めてで
かなり驚きましたけどね驚きましたよ
私がNに行つていた罪事を鑑みれば
因果応報の正規版だなと諦認しました
双方向で許し合わせることは無く
労働組合の無い屋根の下で
一寸した告げ口でしか改善はなく
...
「わが地名論」連載にあたって
詩の中に地名を書くこと。その意味を探ること。これは僕自身の詩集に関わりながら展開する「わが地名論」。この連載を通して〈地名とは何か〉〈詩とは何か〉を考えてゆく。
そう誰かが言った
AIが仕事を奪う?AI後の世界を想像する?AIが新しい宗教になり得る?
本当に?でも、ありえるかも…
神とは人間が発見した存在である、宗教とは人類が発明した概念である
私は無神論という宗教じみた発想に取り憑かれているのかも知れない
人は一度、神という存在を認知してしまうと逃げられない
「悪魔がいなきゃ神様だってニートだろ」
クソゴミクズ野郎も神にすがる、神がそう言うなら、レイプだって問題無い、法律だって関係無い神もAIも人間が発明した
ずいぶん調子が良い話だろ
イスラム教が言う世界平和とは全世界の人口がイスラム教に帰依することを言うのだと聞く
そりゃあ世紀を跨いでキリストとアラーは揉め続ける
...
「夜を照らすすべての明かりは灯台だ。君が一人じゃないことを証明している」なんて言われても、俺に友だちはいねえし、恋人もいねえし、金もない。空虚なことこの上なく、しかもいつも腹を下していた。平成40年にもなってコンビニ店員をやってるのは、ただ、飯を食うためだった。
フィリピン・マニラのイントラムロスは、スペイン植民地時代を象徴する区画である。市内の雑多な居住区と比べると、まるで混沌とした無意識のなかに、突如あらわれた理性の島のようだ。
終電が過ぎて
シャッターの閉まった池袋北口のまえで
裸で
怒り狂ってる人がいた
一旦通り過ぎた後、引き返した
見守る一人の紳士曰く、終電に対するパニック発作であるらしいと
紳士と一分ほど、精神障害とは何かについて話した
二人の警官が対応している
教祖はなぜか服を着たがらない
警官は彼に服を着せようとする
教祖はすぐに服を脱ぐ
これらが繰り返され
コントみたいになっている
笑っちゃったけれど俺は自販機に水を買いに行って
教祖に渡すが
教祖は太陽みたいだから
すべてはねのけてしまう
お巡りさんが着せたズボンもすぐに脱ぐし
だけれどわざと抵抗しているという風ではなく
いやおうがなしに反応、反射している感じで
だから余計見ている俺もつらくなる
お巡りさんが教祖に服を着せる
教祖が服を脱ぐ
お巡りさんがズボンを履かせる
教祖がズボンを脱ぐ
...
新自由が産まれゆく新自由だからだ
だから黑犀の背中を征き続ける夏野
みながみな己れの足籍を取り込みて
列からひとりふたりと欠けが出たり
前方の子連れ女の倒れ方や慰安の場
新自由が吹いてゆく新自由だからだ
だから露となつた子連れ女の個の部
南風に捲られて逆さ阿蘇の炭化層だ
レジンに閉じ込められた失敗例の種
全世界からうまく切り取られてゐる
新自由が凪いでゆく新自由だからだ
だから子を置き去りにした女の連れ
身嗜みのおかしさから嫌われてゆく
練炭の穴を数えながら夏を誤魔化し
贅肉があつた腹周りさえ売らうとす
新自由が過ぎてゆく新自由だからだ
だから子連れ女はひとり身となりて
淫らな愛の積み上げを湯水のごとく
連日連夜踊つているのだ男の上下で
善悪乱れに乱れて無軌道に冒し始め
─────────────────free
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