「晴智」ヒラノ
僕はお父さんの連れ子だった
3歳の時、お母さんがやって来た
ドレミファソラシド
あいうえお
全部お母さんに習った
お父さんは当時30代の働き盛り
昭和のころ、まだ土曜日も仕事も授業もあった時代
バリバリ働いていた
僕は「たかいたかい」をしてもらうのが大好きだった
絵本を買ってもらった
僕はその絵を眺めるしか出来なかった
まだ字が読めない、書けなかった
ある日、「読んでごらん?」と言われ、僕は勢い良くめちゃくちゃな事を口走った、文字が読めないから
それからあいうえおの練習が始まった
幼稚園に上がり、ヨシ君がピアノを習っていると聞いて「僕もしたい」とお母さんに頼んだ
厳しかったがお母さんから直接レッスンを受けた
怒られるのはイヤだったけど、1曲最後まで弾けるようになった時の楽しさ、褒めてもらえた嬉しさは今も忘れていない
それから…
小学校、中学校、高校ときちんとした教育を受けさせてくれた
多大な愛情を注いでくれた
感謝しかない
なのに、なぜ今、僕はこんなにもクズになってしまったのだろう
なんで?
いくつもの選択を誤った、自覚がある
お酒にドラッグ、暴力事犯
恐ろしい数の失敗をしている
ご丁寧なことに警視庁はいちいちカウントしている
僕がアホな選択をしただけで、ただそれだけ、たったそれだけ
あれだけ優しくしてもらったのに、あれだけ愛してもらったのに
おおよそ、今から取り返せるような話ではない
二十歳になった時、産みの親に会えるかもしれないと期待していた
両親に対してのある意味での裏切りだ
来ねーよ、だーれも
だーれも俺になんか会いになんて来なかったよ
いたのはお母さんとお父さんだった
今の僕は誰が作ってくれた食事で大人になれたのか
この骨は誰が作ってくれた食事で築かれたのか?
言葉や音楽や、それらをどう愛でるのか?教えてもらった
法律がどうとかこうとか興味無い
僕の母親は1人しかいない
これが事実だ、まぎれもない事実だ
俺は譲らない
おおよそ一般以上の教育を受けさせてもらったのに、僕って、俺って、なんでこんなにバカなの?
僕と俺のコントラストが混ざって行って、
ちょっと、
俺は何を言ってるんだ?
友人達が結婚するようになり、そしてお父さんになっていく
皆、子供に名前をつける
もし、僕に男の子を授かることがあればなんと名付けるのだろう?
妄想してみた
晴智、ハルトモ
ね?語感もいい感じだと思う
なんでハルトモかって?
その理由は世界で2人しかわからない
読んでくれてありがとう
本当に有難うございます
親父とお袋に?「愛しています」
僕と俺が混じり合う時に