【企画】私が今読むべきだと思う詩」POGE
この原稿はPOGE氏に、「抒情詩の惑星Best poet」を依頼して、書かれたものであります。
(抒情詩の惑星の原稿、結構難しいな......。ベストを決めると言ってもみんなベストに見えるしなあ。むしろ自分にとってちょっと引っかかりのある詩を選ぼうか。)
そんなことを考えながら、ベストとか「よく出来た詩」というものがさっぱりわからなくなったので、いま読んでほしいと思う、そんな詩を選んでみた。
「点と点」 span
https://poetry2021.webnode.jp/l/%e3%80%8c%e7%82%b9%e3%81%a8%e7%82%b9%e3%80%8dspan/
「点と
点を
結ぶな
死ぬから」
ごく当たり前の表現なら「点と点」は結ぶ、結ぼうという希望で語られることが多い。
それは個人というものが点で、他者も点で、唯一わかり合えるとしたらその点同士が繋がる一瞬だ、などとオントロジーでは考えるからだ。
この詩はそれに真っ向から反対する。
点と点が結ばれるとき、世界は現れるが、それは死を呼び込むと。
話者個人の親しい人を亡くした悲しみと、有名人の近しい人の死を等価に見てみる。
悲しみはとれない。
死はいつだって、個別具体的なものだからだ。
私個人の知る人でもある。
私は心が枯れている。
だから涙は出ない。
背中に穴が空いたような、空虚が押し寄せてくるだけだ。
「ささい」chori
https://poetry2021.webnode.jp/l/%e3%80%8c%e3%81%95%e3%81%95%e3%81%84%e3%80%8d%e3%80%80chori/
この詩は、今、この瞬間にでも読まれるべき詩だ。
どこかで見たことのあるフレーズと固有名詞の数々、ネットスラング。
今読まなければ、ほとんど意味をなさない文字列になる可能性がある。
時が経つごとにこの詩は薄れてゆく。
歴史にも残らない。
「今」が少ない語彙で凝縮されている。
なにも、長く残ることが詩の目的でもないだろう。
読み捨てられていくことに意味があることを、おそらく話者は知っているだろう。
【企画】構造選 抒情詩の惑星 BEST Poet
これは厳密には詩ではないのかもしれないが、私はポエジーを感じたので選んでみた。
エクリチュールは受け手がどう思うかが一番重いからだ。
初手から死んでいった人々の話になる。
私が個人的に知る人も知らない人も、たくさん死んでいる。
毎日人は死んでいるんだ、だからどうした、とは言えない。
嫌いなやつだって死んでしまうのは逃げるようで気に入らない。
ましてや親しかった人の死となれば、だ。
ざっとネットの詩の世界の概観も見えるように、詩と死は切り離せないのかもしれない。
死んでいった人たちの屍を超えて、私たちは先に進むのだ。