【企画】構造選 抒情詩の惑星 BEST Poet

2022年03月06日

ネット詩、俺のネット詩私史について書いてほしいという依頼を数週間前に受けていたのだが、全く進まずにいた。

ようはどう考えても死んでいった人間にぶちあたってしまうからだ。

そうなるといろいろ書くことは重くなってしまう、死んだことについて死んだと言えないやつもいるからな。そいつのことを知っている人間の殆どは死んだということは知ってるだろうが、言う気はない。誰かと聞かれても嘘をつく。

ここまでいろんな人間が死ぬと、しばらく見ない人間の末路について
邪推してしまうこともある。

いとうっていたよね、ポエニクってサイトやってた人。
かつては影響力発揮できてそれをそれなりに利用もした人。
あいつはちょうど震災直後くらいに震災のことをかきましたという感じの詩を書いて以降どこからもいなくなった。
生きてるといいな。

対立関係にあったし、あいつの詩に関してはスキャンダラスな匂わせを安全圏からやってるだけという印象があって大嫌いだったが、今あいつのことを思い出すのはかつてのネット詩にいた連中だけだ。

ネット詩爆撃プロジェクトってのがあった。現代詩人がネット上の投稿サイトに詩を投稿するという企画だ。いとうが投稿するサイトを選出したそうだが、企画に参加した現代詩人から「あいつどうしてる?」の一言もないだろう。

あの当時のネット詩はなかったもの扱いされた。何人も死んでいるのに。

なににせよ絶望的なのは
はっきりいうとそうして消えていった、死んでいった人間の作品は
俺に何の影響ももたらさなかった。
こういう作品を書きたいとおもったことは正直ひとつもない
感動したものも
技術的に感心したものもない
本当にいい友人だったやつのものも、だ。

冷静に考えれば他人にとって、俺の作品もそうなんだろう
死んでも本物にならないのであれば、俺らも奴らも何のために書いていたのか
答えはとにかく宙に浮いている

とにかく、思い出す風景が荒涼としていればしているだけ
死者には供えられるべき花が必要だ。
今の俺の考えるいまのベストというものはそういうものだ。


「点と点」 span

「詩学社、そして寺西さん」角田寿星

「寺西幹仁インタビューノート」