「創作について」構造
僕の創作にとって重要なのは結局世界でもなんでもない。
たとえば戦争が起こってたとして、結局のところ問題はそれで
死んでいく人間がどうとか、クソの掃き溜めに突っ込まれた
イラク人がどうとかとかそういう問題ではなくて、結局のところ
テレビやラジオの電源を一切切ってしまえばそれで解決する問題に
すぎないような気がしてならない。ガソリンが高くなったとかそういう
ことは実際問題ぼくらの生活を脅かす問題だが結局のところそこでイラク
で人が死んでいるとかそういうことはたいした問題ではないのだ
極論を言えば何人死んだって安定すりゃいいんだから。つまりは
よそ事なんだ。実際問題不快な映像が茶の間に
流れたからゲロはくような嫌悪感をアメリカに対して抱いているに
過ぎないのだろう。実際問題、世界のことについて、たとえば同じ太陽の
もとでの出来事だ、と事実を確認したうえで同じ血が流れている人間が
どうこうなっている、という実にヒューマニズムにあふれる感情で首を
突っ込んでいたら、普通に精神破綻を起こさないのが不思議で仕方がない。
あいつらは事柄ということについて突っ込んでるだけだ。人が死んでいる場所
になんか行きたくもなんともない。見たくもない。ぼくもだれもかしこも
それなりに出世もしたいし、たとえばガソリンが高くなるとか製造原料が
高くなるから日本経済新聞のように人死にを捉えて見るしかないのだ。
創作においては、戦争に触れることは悲しいことにインターナショナリスト
へのご機嫌伺いにすぎない。同じ空のもと、同じ人間が死んでることは
事実だろうよ、だけど致命的に、遠いんだ。とにかく遠いんだよ。
僕が思うのはこういうことだ
例えばしょぼいギター少年がいたとして、いつも自宅の車庫にこもって
練習をしている。ガンガンに音を出す空間の中で腐るほどへたくそな
ギターをかなでながら、無論学校に行ったり、バイトに行ったりで
それなりの世間との交流はあるのだろうがおそらくはその創作活動に
おける世界との接点というのは、へたくそでやかましいギターの騒音が
外に流れ出すこと、プラスしてそれへの反応といったらたまに音量を
出しすぎて近所の連中が怒鳴り込んでくることそのことだけでしかない。
プラスしてその少年が夢見ていることといったらおそらくはたまたま
キャデラックに乗ったエアロスミスのメンバー(ジョー・ペリーと仲違い)
あたりが家の前を通りかかって、ワオ、なんてクールなサウンドだと
驚き、タラコのボーカル(名前忘れた)がヘイボーイ、君は今からエアロ
スミスのメンバーだぜとか声をかけてくれるとかそういうことなのだ。
結局のところ、そういうありふれた少年がいたとして、実際問題そこに
イラク問題がかかわってくる余地は一切ないにちがいない。
たとえば僕の仕事をしなければという感情はすべてがジェームズ・ブラウンの
カヴァーにすぎない、実際仕事をしなければということは、最低でも
高校〜大学にいたるまで押し殺さなければならない感情であったので
小学校時代から持っていたある程度の自立心は完全に死んだ上で殖民された
感情を抱いていることになる。
だがまあ必要な感情であることは俺も認識した上での殖民なんで、実際
こいつは、出稼ぎ労働者と表現してもいいだろう。ジェームス・ブラウン
のファンキーステイツからやってきた出稼ぎブラザーが俺の仕事への意欲
を支配しているのだ。だからこいつは創作に直結することができる。
だいたい120BPMくらいの心音処理で、俺は仕事に対しての様々なイメージを
思い浮かべるし、つらいことがあればジスイズアメンズワールドと心で叫ぶことも
できるだろう。そいつが効率的すぎるまでに効率的なのだ。仕事につけば
それなりのやり方をインストールする必要はあるだろうが、OSはJBなのだ。
仕事をやるにあたってはたぶん困らないだろう。あれで、駆け引きも
学習も、誠意というのも否定してない。
今の時点で反戦心というのがあったとしてそれはピーターポール&マリー
とかのカヴァーになりそうな気がする。ノーヴィエトナム!と叫んで
しまって取り返しのつかないことになる前に、実際俺自身のオリジナルの
反戦心なんてものははたして育つのか疑問としか言いようがない。
おそらくは、戦争でおびえるしかないのだろう。五歳のときにロシア兵に
銃を突きつけられた親父の言う反戦、家宝だった勝海舟の書まで置いてきて
命からがら日本に逃げて、シベリアに押し込まれた爺さんが帰ってくるまで
母子寮で赤貧を過ごしたばあさんと俺の言う反戦は明らかにカラーが
異なる。70年代流れ、マルキストかぶれの言うアンチ侵略戦争の
カヴァーは、婆さんにとって説得力がないだろうし、アメリカ流れの
ラブアンドピースも説得力はないだろう。
育てるとしたら、婆さんか親父のカヴァーだ。血がすべてを許す。。
もしくは、それが伝統になる。
転載元 sexyhoya_kouzou's diary (2004.07.20)