「かなしみ」花本武

2022年02月01日

大きくて小さいかなしみだ
明けては暮れるおひさまだ
願っては叶うことない
そこない
別にない感情の波
むかしなつかしい
そこない
なにもない平原だ
むかしなつかしい
あられもない
わけじゃない
村の片隅にあった小屋の中のにおいだ
天変地異
むかしなつかしい
選ばれることのない
えーえんのてっぺんのおわり
あしたこない
そこない
めそめそする
やかんをわかし
旅館に泊まり
一泊の夢をみて
二泊目の空白に祈り
ささげ
二重の意味で
三泊目の暮れなずむ石の道に拾い
ささげ
もう死ぬ死ぬ
とさわぎ
大袈裟に
点線に沿って進み
大通りを西に
見えない
感じない
そこない
唐突な衝突に戸惑い
憂い
熱気球に狂い
我こそは
よく通る声で
我こそは
見たままを演じ
トータルで
リモートで
大荒れで
やっぱ葉書書いて
もう堕落したのか
一筆
典型的だったかな
不発弾に触れて
露骨だったのかな
透明性抱いて
絵に描いたような青空だな
遠くでだれか手をふってくれてるみたいだな
ズームアップ
テレビを消して存在も
クローズアップ天才も
ベイル深く身体に食い込む
汚れが赤々と灯る
帰る
バラを飾る
いつまでもしゃべろう
かなしい、かなしい、かなしい、
かなしい、かなしい、かなしい、
横顔、なぞらせて
ねえ、そこにはもういないで
ここから
ずっとまえから
かなしい