「われた社会の窓から」もり

2021年10月28日

「われた社会の窓から」

おふろ場で
おちんちんが
ぴいーんと
上を向いた

なんで
と きいたら
お父ちゃんは
おちんちんが
怒っちゅうがやって
やき やさしゅうせないかんって


幼稚園の友だちと
友だちの2階の部屋で
いっしょに
服をぜんぶ ぬいで
すっぽんぽんになって
きのうの夜
テレビでやりよったルパンの
みねふじこを
思い出してみる
そうしたら
だんだん
おちんちんが
また ぴいーんて
怒りだす

ほら
なったろう

ぼくはなんちゃあ
怒っちゃあせんに
ぼくはこれで
ふわふわするに
なんでやろうか

そしたら
友だちのママに見つかって
家に帰ったら
お母ちゃんに
すごい
怒られたが


小学校に上がってから
たまに 家でひとりのとき
おちんちんを触りよったら
白いしるが出てきて
それが出たら
おちんちんは 怒るがをやめて
気持ちがえいき
何回もした
いかんことをしゆうような気もした
だから
それは
隠れてやりよったけど

急に
こらえれんなって
晩ごはんをつくりゆうお母ちゃんに
ぼくは、いかんことをしゆう
ごめんなさいと
ぜんぶ 言うてしまった
お母ちゃんは
困った顔をしちょった
あとは覚えてない





小学校4年生のとき
友だちが友だちの親に
「もりくんがえっちな本を持っちゅう」と
ばらされて
親に家宅捜索を受けた
ぜんぶの机の引き出しをあけられて
見つからんかったけど
めっちゃ恥ずかしかったし
くやしかった
もうごめんなさいなんて
言わんかった





半年間だけ通った中学で
オナニーという単語を覚えて
また行かんなった
オナニーにちょっと
飽きちょった でも
ひとりやし やることないし
やっぱり
気づいたら
そればっかり
やりよった

親父のお下がりのパソコンで
初めてエッチなサイトを見たら
警告文みたいながが
画面にあふれて 消せんなって パニック!
パソコンにつながっちゅう
あらゆるコードをぶち抜いて
それ以後 パソコンには触らんかった


高校は一度も通わんと やめた
こんな毎日オナニーをしゆう
自分はおかしいがやないか
と思いはじめた
でも
周りの同年代が
なにを何回くらい どういうふうにやりゆうがか知らん

とりあえずオナ禁せなと
毎日一本ずつ 線を足して
正の字を書いていった

正の字が4つ並んだ
次の日の朝 はじめて夢精した

パンツを風呂場で
こそこそ洗った
ぜんぜん正しくない

ほとんどが妄想をおかずに
処理しよったけど ある日
無修正のアダルトビデオを見る機会があって
なんか、おれのちんこ変やないか?
と思った
皮がむけん
まったく
痛い

買いよったプロレス雑誌の
最後らへんのページで
包茎という言葉を知る
とたんに怖うなって
プロレス雑誌を買うがをやめた

包茎 その読みを知るのに一年
親に悩みを伝えるのに
二年かかった

単身赴任の親父から
手紙がきた
そこには

「コツコツ剥きよらないかん」

と書かれちょった


いや、だから剥けんがって親父w


二年かけて
必死に伝えたのに
なんか あのときは
ひたすら
悲しかったなあ



おふろ場で
おちんちんが
ぴいーんと
上を向いた

あのときみたいに
なんで?
ってきいたら
うそでもえいき
怒っちゅうがよえー
って 遠くてもえいき
もっと近くで
教えてほしかった
お父ちゃん



でもまあ 今は
あのときは手紙ありがとうって思える


なんでやろうか




一皮むけたってこのことながやろうか


知らんわ




今も
おちんちんは
たびたび怒りだす
その怒りをしずめたり
しずめれんかったり

しながらも

ちょっとでも
やさしゅうあれるようにって
そうやっていきて
いけたら
えいがやけどなあ

ぴいーんと上を向いたら
そこには空が
あって

まぶしい