「イメージ」ヒラノ

2024年05月21日

寝起きですぐに夢の続き
寝起きですぐに夢の続き

夢の思い出

僕は絶対に君のことを忘れない


  割れるシャボン玉すぐに消えた
  虹色のそれは消えて無くなった
  イメージが消えると暗くなった
  思い出せないが今日が始まった
  金魚すくい乗せたら紙が破けた
  何かが僕からすぐ逃げて行った
  戸惑う暇なく電車に飛び乗った
  しがらみ激しく混線が始まった
  曖昧な記憶でもう窒息していた
  しつこくモヤモヤが付き纏った
  彼女の影が膝を立てて座ってた
  窓も無ければドアすら無かった
  自分自身で勝手に閉じ籠もった
  たぶんそうだろうとうなずいた
  ドアが出て来ると高をくくった
  好きな人にと僕は僕をなじった
  笑えるにはあと百年必要だった
  誰も知らない様な深い穴だった
  泣きながら自分の墓石を削った
  そしてどこまでも奥まで掘った
  僕は夢も希望も全部捨てていた
  思い出せそうだけど無理だった
  すぐに消えて溶けて無くなった
  気がつけば景色が変わっていた
  エントランスには何も無かった
  エレベーターの45階を押した
  階段を昇って屋上に出たかった
  スズメが僕を指差して笑ってた
  ムカついたから脅かしてやった
  噂を聞いたカラスに職質された
  体格の良い坊主の男も笑ってた
  彼は天国行けずソープに行った
  理由がわからず僕はうろたえた
  みんな死ぬが今日じゃなかった
  女を送ったあの日も夜雨だった
  鳴った電話あいつの訃報だった
  夜にまた雨が降る電話が鳴った
  日本の戸籍からまた一つ減った
  かけがえのない僕の友人だった
  彼は春が好きだとみなに言った
  そんな春に彼と会えなくなった
  涙が出そうでも寸でで止まった
  悲しい僕はなぜか泣かなかった
  僕は薄情者と罵られたくなった
  階段鳴り昇る音が聴こえてきた

タっ! タっ! タっ! タっ! タっ!
タっ! タっ! タっ! タっ! タっ! タっ! タっ! タっ! …
非常階段に足音が響く

建った!建った!見て!
僕のビルさ!45階建てだ!
今日から僕はオーナーだ!



あのビルに明かりが灯って、そして消えて…

皆んな帰ってまた夢を見る


夢の続きのついで
夢の続きのついで

起きてすぐの夢の思い出

僕はエレベーターで一階に降りた





ヒラノ