「イメージ」ヒラノ
寝起きですぐに夢の続き
寝起きですぐに夢の続き
夢の思い出
僕は絶対に君のことを忘れない
割れるシャボン玉すぐに消えた
虹色のそれは消えて無くなった
イメージが消えると暗くなった
思い出せないが今日が始まった
金魚すくい乗せたら紙が破けた
何かが僕からすぐ逃げて行った
戸惑う暇なく電車に飛び乗った
しがらみ激しく混線が始まった
曖昧な記憶でもう窒息していた
しつこくモヤモヤが付き纏った
彼女の影が膝を立てて座ってた
窓も無ければドアすら無かった
自分自身で勝手に閉じ籠もった
たぶんそうだろうとうなずいた
ドアが出て来ると高をくくった
好きな人にと僕は僕をなじった
笑えるにはあと百年必要だった
誰も知らない様な深い穴だった
泣きながら自分の墓石を削った
そしてどこまでも奥まで掘った
僕は夢も希望も全部捨てていた
思い出せそうだけど無理だった
すぐに消えて溶けて無くなった
気がつけば景色が変わっていた
エントランスには何も無かった
エレベーターの45階を押した
階段を昇って屋上に出たかった
スズメが僕を指差して笑ってた
ムカついたから脅かしてやった
噂を聞いたカラスに職質された
体格の良い坊主の男も笑ってた
彼は天国行けずソープに行った
理由がわからず僕はうろたえた
みんな死ぬが今日じゃなかった
女を送ったあの日も夜雨だった
鳴った電話あいつの訃報だった
夜にまた雨が降る電話が鳴った
日本の戸籍からまた一つ減った
かけがえのない僕の友人だった
彼は春が好きだとみなに言った
そんな春に彼と会えなくなった
涙が出そうでも寸でで止まった
悲しい僕はなぜか泣かなかった
僕は薄情者と罵られたくなった
階段鳴り昇る音が聴こえてきた
タっ! タっ! タっ! タっ! タっ!
タっ! タっ! タっ! タっ! タっ! タっ! タっ! タっ! …
非常階段に足音が響く
建った!建った!見て!
僕のビルさ!45階建てだ!
今日から僕はオーナーだ!
あのビルに明かりが灯って、そして消えて…
皆んな帰ってまた夢を見る
夢の続きのついで
夢の続きのついで
起きてすぐの夢の思い出
僕はエレベーターで一階に降りた