「メダカをもらって7年」 中川ヒロシ
2024年12月19日
病院を退院した昼間、長閑な田舎の
喫茶店で、マスターからメダカを 20匹貰った。
僕はそのメダカを大切に育てた。
一匹も死なせなければ、自分の病も、再発は無いのだと信じようとした。
しかし、すぐ数日後その中の一匹が弱って、僕は死を認めたくないので、それを川に放した。
メダカは弱ったまま川の流れにただ流されて行った。
僕はそのメダカが下流の池で、元気に生きているに違いないと思う事にした。
その後、夏の暑さで、何匹かのメダカが死んで、水に浮かんでいた。
魚が死んだ水槽の臭いもした。
僕はそれをまた川に流した。
まだ生きかえると信じてみた。
何年かが、経過して僕は無事に何でもなく暮らした。
その間に、メダカは卵を産んで画期的に増えて行った。
今朝、冬の澄んだ水槽の水の底に一匹沈んでいた。
今は、ちゃんと死んでいると思える。