「三角定規」鐘勢

2021年09月23日

「三角定規」 

京都の着だおれ、大阪の食いだおれは、有名ですけど、奈良の寝だおれって知ってます?奈良って鹿でしょ。昔、鹿が自分の敷地内で死んだら、処理するのにすごいお金かかったらしいんですよ。だから、早起きして、まず、自分の敷地内に鹿が死んでないかチェックして、もし、死んでたら敷地の外に出すと。一番寝てたやつがたおれってことらしいんですよ。
ちなみに関東でも、こういう「だおれ」ってあるんですか?
と、いつも行ってるカウンセリングの先生に聞くと、先生はしばらく考えてこういった。「NIK口の暗殺。」やて。だおれちゃいますやん。てゆうか、マルコムXレベルの人以外はどこで撃たれてもただの射殺ですやん?
とか考えながら俺は、NIK口駅で降りた。
正直、。一人やったらこんなとこ住むかいやとつぶやきながら玄関開けたら、彼女とハムスターがいなくなっていた。
俺の心は人との別れの時に訪れる、悲しみのメロデイと、たまにこみあげるNIK口のヘイト心のビートでごぼごぼと汚い音をたてていたが、ハムスターの餌のヒマワリの種を置いていったことに気付き、悲しみのメロデイは怒りのデスメタルにスパークした。
種ぐらいで?というかもしれんけど、5キロ入りやぞ。
5キロというと米袋をイメージするかもしれんけど、ヒマワリの種一粒の軽さとでかさ、みくびったら痛い目にあうぞ。
一瞬気を失いそうになったが、大丈夫だった。俺なら種とかうまいこと消す方法はいくらでもイマジネーションできる。俺は、映画大脱走のテーマを口笛で吹きながら、種をリュックに全部つめてT張神社にいった。
案の定、人気のない賽銭箱でおれは熱心に願掛けする人のふりをしながら口の空いたリュックを賽銭箱の上において、ひまわりの種を流し込んだ。
だが、いかんせん5キロ。願掛けのふりだけでは間が持たないので彼女に呪いの言葉をかけてやることにした。
「お前は口が悪い、めちゃくちゃに悪い。世界的に見ても相当悪い。だから直せ。それができたらお前は天下とれる。YOUAREBEAUTIFUL!ILOVEYOU!!!!!!!!
あとお前は、姿勢も気管支も悪い。だから新居に移ってもバランスボールと加湿器は絶対に買いますように。と、なぜか後半はシンプルな願い事になってしまった。
しかし、お願いをするにあたって、ひまわりの種だけ5キロも流し込むのは願いを叶える側から見たら相当に極悪な感じがすると思ったので、俺はいいえ、私は100%悪い人間ではありませんよ、種は、ジョークなんです。ちょっとした洒落なんですよー。という気持ちを少しでも神様に伝わるように俺は賽銭箱にそっと、三角定規を追加投入したんだ。











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