「山頂で」 中川ヒロシ

2024年06月02日

標高3000M
標高3千でも聴こえるラジオ
ラジオ人生相談
転職 浮気 借金苦 

それら下界の生暖かな不安に
まるで耳を貸さず
稜線を渡る風の 乾いた冷たさ 

山頂から見る
その景色の捨て方は あまりに見事で
どちらを向いて見ても
どちらかがもったいない 

いっそ目を閉じ そこを山頂とする
そして ついに人の登ることがない
残りの高さを思う 

人が生きることの
驚くほどの安さとその喜びを
少しずつ取り戻しながら 







中川ヒロシ