「思い出」 多嘉喜
This is a 格闘、とはまた違う地下活動
町の悪童が見向きもしない我々のアクト
It's like that yo, と済ませたくもなるけど、
それじゃあ終われない、から今日もいざ参上
実家は何畳?今や飢えるのは僅か何秒?
かつて婆さんが植えようとした南妙法蓮華経
何度読まれても、直樹は1年間の失業
が2回もあった、けれど日々粛々と生きるしか
我が子には未来があったから、ただ、
期待は押し付けないでくれたから、
日々粛々と生きるほか、見せなかった
好むと好まざるとに関わらず、人は人を殴る
足の速いやつがモテる、のまんま悴んだ価値観でもっと金がない、親が親じゃない奴は人を殴る
顔と拳を見て「バカじゃない」と呆れたひとみ
バカじゃなきゃ財布がなくなるガキの仕組み
バカのままじゃ財布空になる町の仕組み
バカの財布にばっか群がる国の仕組み
ロープは命を終わらすためじゃなく、
地上50mから垂らして命を預けるものだった、と知った、マンションの壁洗ってた歳の頃
戦争から帰ってきた經治の時代がずっと巡って
俺がマンションの壁洗ってた頃、
身体中に癌が巡ってた經治、応、經治
木工職人を60年やると、齢80を超えて顎から腫瘍飛び出したって、熊みてぇな力で首根っこ掴める
17の小僧くらい強引に引き寄せる
がしかし「良い子になれよ」くらいしかものは言えなくなるし声だけはアウトレイジ
全員悪人?いや足立区じゃ全員職人
少年法から捨てられて、連れが連れの連れと連れ添って命を育む頃、徒然なるまま、紙の上で鉛を引き摺り回す
「お前、大学なんて行ってどうすんの?」
ごめん、俺お前の知らない人生やることにした
誕生日におめぇの親の年の稼ぎよりする車貰う奴もいる、飯がまずいからって捨てる奴もいるところに行くんだよ
That was a 格闘、とは似ても似つかず、
I was a 学徒、エゴの錯綜
ここでは人を殴ると平気で警察を呼ぶ奴がいて、その癖てめぇが酔った勢いで暴れたら金持った親が無かったことにしにくる
その親が払う、直樹の月の稼ぎよりも高い家賃の部屋で覚えたての酒とメンソールのタバコに浸る
では飽き足らずその顔で大麻の是非を語る君になりたかった?本当になりたかった?
一瞬でも憧れた?のは若さからかはたまたバカだったからか、そんな奴が育ちそうな家に囲まれてる今も、今しばらくも、未だ地下活動
This is a 格闘、とはまた違う地下活動
ヒビが入る時も意地汚く、意味もなく、勝負