「晴天の詩学5 ー「現代詩とは何かー答える」シーズン2 道なき荒野をゆけ、詩人」平居謙
2023年01月30日
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いつから詩人たちは、賞のために詩を書くようになってしまったのだろうか。詩人とは元来、救い主の到来を予感し荒れ野で呼ばわる者であったはずだ。
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誰かに評価されたい、驚いてほしい、褒められたい。そんなことを思うのは表現者として当然である。賞を貰うということは、少なくとも複数の選者が評価したわけだから、評価されたという証明にはなる。おめでとう。しかし評価証明書を持ち歩く詩人は品格がない。
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賞を獲ったとたんに、自分が何らかの存在であるかのように急に振る舞い出した書き手を何人も見て来た。中には賞の候補にあがったことで、そういう態度をとる人さえ少なくない。詩人の自恃はどうしたと尋ねたい。荒野を歩いてゆく時に杖となり得るのは、自恃に他ならない。その他のものは重い荷物となってそのゆく道を妨げるのだ。
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「詩人と呼べるのは賞を獲った人だけ」と最近誰かがツイートしていた。え?そんなこと本気で言ってる人いるのか?二度見しようとして、スマホ画面をもう一度見直したらすぐ消えていた。誰かに忠告されたか、間違って消したか。しかしそういう発想をしている時点で、当該書き手が詩人ではなかったことの証明である。地上価値の横流し。一般社会組織におけるヒエラルキー的発想から自由になれないみすぼらしい精神の露出者である。
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道なき荒れ野をゆけ、詩人。その時に自然、身体から発露する魂の断片がアウラとなって野に放たれる。その放たれたアウラのことを詩と呼びならわしてきたに過ぎない。何と、ホンモノの詩が少ない事か、世界!