「点と点」  span

2021年09月22日

「点と点」    



点と

点が

結ばれ

世界は現れる


2019年6月5日

最後の返信がなく24時間以上経った

でもそれは今までもあったし

薬が効いてやっと眠れたのでは?


明日の朝電話して出なかったら東京に向かおう


翌朝、新幹線で京都から東京に向かった

嫌な予感が確信めいてきて

空は曇っていた


きっと入院したに違いない


警察署と区役所に出向いたが個人情報がどうとかで一切何も教えてはくれず

もし、一応、どうか、可能なら、と連絡先を伝え

机に落ちた涙を拭いて外の階段で絶望していた


どうか悪いほうじゃありませんように


警備員がもう閉めますと言うので

僅かな社会性でその場を移動した


少しして区役所から電話がお情けでかかってきた


「昨日亡くなられました」


ともちゃん9さいという詩人が亡くなった

というか

ともちゃんが亡くなった


その日から

居ない世界が始まった




答えが欲しかった


いろんな所へ行って

会ったこともない人に会い

話したこともない話をして

やったこともない手続きをしたり

映画を見たりして

少しの間は納得したが

やがて消えた


米津玄師は数ヶ月前に親友を亡くしていた

ポール・マッカートニーは奥さんを亡くして1年はずっと泣いていた

同じような人を探した


悲しみが取れない



点と

点を

結ぶな

死ぬから



わかった

幽霊はいない

いまだに現れてはくれない

あの世なんて無い

お墓なんて嘘だ

怪奇現象なんて一切無い

ただあの日の早朝

固定していたはずのカーテンが風に揺られ目が覚めた



点を結ぶな



悲しくないのは

忘れている時だけ

灯りを消して

視界が無くなったら

想う

悲しみの世界で時空は歪み

夜空には無数の点と点

その全てを結んでも

二人で

どうか

いつものように

どうか

いつかのように


やがてあなたの年齢を超えて

存在しないあの世で会えたら

老けたねって

笑ってくれるか












                                                                                                                                                                                                                          span