「現代詩」もり

2021年09月22日

「現代詩」 


どんな格好でも
ビルの屋上から
飛び降りて
地面に激突するまで
最低 二百年はかかるから
自殺とかできないんだ だれも

空とアスファルト
冷静と情熱
タイトルと一行目

そういうものの間で
たいていのぼくらは年を取り
やがて死ぬる
ときたま 髪を 七色に染めた
ボーイや
ガールがいて
そういう子たちが
虹を
つくりだすんだ

きみの手のひらは
大きくなるだろう
そいで
Fコードを押さえる
おっぱいを揉みしだく
スーパーマーケットの
除菌スプレーの
アルコールを
消費する

手首から
切り落とされた
血塗れの
いいね👍が
玄関先 山積みに
置き配されて
インフルエンサーは それらを
次々と バスタブへ
投げ込んでは
また 新たな配信を
はじめている

みんなが一円ずつあげたら
ホームレスも
億万長者になれるのにね


怪獣を巨大化させないという
魔法の使い手は
ヒーローにはなれない
そういう人は
中の人に 殺害されてしまう

多くの人がのぞむ形で
怪獣は でっかくなってしまい
戦闘機は叩かれ 戦車はつぶされ
六本木ヒルズも
七本木ヒルズも 次々倒されて
ウルトラマンは
待ってましたとばかりに
存在全体を 勃起させて
3分でイク

ご覧のスポンサーの提供で
雨と雪と雷と
雹と札束とフケが
同時に 
せかいへ
土砂降ってくる

交差点では
ドミノピザと ピザーラと
ピザバットと 出前館と
ウーバーイーツの配達員たちが
互いの胸ぐらを
掴み合う
どっちが正解で
どっちが間違いか
イマラチオなのか
イラマチオなのか
わからないと言いたくないから
わからないと言えないから
そりゃ 戦争するしかなかった

路上に散乱した
冷えたピザ
ハッピーレンジやら
よくばりクォーターやらの
破片を
一枚3円のレジ袋に
かき集めて
走るコジキが
たたき出す 非公認
ワールドレコード

お金がなくなったら刷ればいいのにね


かつて
甲子園を目指した
金属バットで
メルセデスベンツの
後部座席の窓をかち割れば
乾いた空には 防犯ブザーの音が
けたたましく

かつて
国立競技場を目指した
黄金の右足で
妊婦の腹を蹴れば
震度0.6で
木造アパートの
205号室は全壊する

そして
誰にも
打たれない
蹴られない
地球が
また ひとつ


ビー玉で
カーペットの埃を覗き込んで
探検したり

自分や家族の
名前が刻まれた
柱の傷を
眺めたり

信号機の青は
青じゃなくて緑だよねって
わかってくれる人がいてよかったー
よかったねって
そんな夜

すすんだり
もどったり
どこだ

スマホに
視線を落としている間に
何回も 信号は点滅して

己が人生を 「後で見る」に追加して

音の出ない 壊れたイヤホンで
耳を塞いで
優先席に
座って
誰かの舌打ち
じっと受けとめて

産声が上がる前には
20秒の広告が流れて

足の裏に 干からびた米が刺さって

無洗米をずっと洗って

スポーツカーで
首都高を徐行して

メルカリで「短い間ですが」と
挨拶し合ったふたりが
生涯のパートナーになってもいいのに

砂や 骨や 種は
もう久しく
口のなかに入っていなくて
ジャリッて
バキッて
ボリッて
なつかしくて

グーグルアースで
スカートの中の必死に見ようとして

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その瞬間に 飛び出して
飛び出して
飛び出して

わからないって

詩をかくということ

わからないって

詩をよむということ

わからないって

詩、ということ

わからない

わからないほうがいい


なんて
死んでも
思わない

それだけはわかる















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