「秘密のコンタクト」ヒラノ
ポン助、おばあちゃんが飼っていたシーズー犬、彼には親友と呼べる二人がいた。
一人は雑種だったのかな?自分の犬小屋の下に2mほどのトンネルを掘り、そこをセカンドハウスにしていた。
ポン助が家を脱走すると、ほぼ100%の確率でそのトンネルというか、シェルターでくつろいでいた。
では、もう一人は?茶トラの野良猫だった。散歩で鉢合わせになった時には、キャッキャ!キャッキャ!と、お互い楽しそうにじゃれあっていた。
「ちょっと待て、君らはどうやって仲良しになったんだ?」
YouTubeにも犬と猫の仲良し動画が沢山ある。
待て待て、君らは身分証を持っていないわけだからスマートフォンは契約出来ない。
そして犬語と猫語の変換アプリなんていう存在も僕は聞いたことが無い。
狼の群れは標的に襲い掛かる時、散り散りの場所から合図もなく一斉に飛びかかるという。
スギ花粉、前年の杉の木の伐採数が多いほど花粉の散布量を増やすそうだ。
「君たちはどうやってコミニュケーションをとっているの?」
だってあまりにも不可解だよ、僕らみたいに言語が無いのに。
ある日、最寄りの駅で、ダルメシアンを抱いた男性がいた。
車で娘さんを駅まで送りに来たらしい。
生後半年ぐらいの抱っこされたダルメシアンは「ワン!ワン!ワン!」じゃなくて「クーン!クーン!クーン!」と鳴く、というよりはお話しをしていた。
僕には聞こえた、「なんでお姉ちゃん行っちゃうの?僕置いてくの?僕は寂しいよ!」男性に抱えられ、仔犬は必死に訴えていた。
ちょっと待って、なんで僕は犬の言葉がわかってしまったのだろうか?
これってなんだろう?
犬と猫のコミニュケーション、
狼と狼のコミュニケーション、
杉の木と杉の木のコミュニケーション、
犬と人間の女性とのコミュニケーション
そして僕と犬(盗み聞き)
これって、なに?
彼らはどうやらまだ、人間が解き明かしていない、理解していない、論文になっていない不思議なコミュニケーション方法を持っているのでは無かろうか?
言葉と詩と僕、
言葉と詩と貴方、
僕と貴方、
その隙間に介在するのは「言葉」
その、言葉以外の何か
この21世紀にもなって解明されていない謎のコンタクト方法があるらしい。
そもそも僕らは、人間の心の在処すら未だに解明されていない。
これは、この言語を用いないコミュニケーションとは、どういう仕組みなのだろうか?
「応答せよ!」
「応答せよ!」
僕の言葉は、伝わっていますか?