【企画】荒木田慧 篇 「抒情詩の惑星」Best Poet
※この原稿は自分が、荒木田 慧さんに「抒情詩の惑星」Best poetを書いてみませんか?と相談して描かれたものです。
「この星いちばんの詩人」
「抒情詩の惑星」というWEB詩誌の中でいちばんの詩人について書けという。
いやだよ書かないよ。宇宙でいちばんの詩人についてならまだしも。
「抒情詩の惑星」というWEB詩誌の道先案内をしてほしいという。
いやだよ甘えんじゃねえよ。一人きり迷って迷って、倒れたほうが近道だよ。
私は権威に尻尾を振る人間である。権威の大小は問わない。どこの誰が何を言ったか、言われたか、その事実に対してかんたんに尻尾を倒す。
「〇〇さんオススメの△△」とライトに発信された情報さえ、私の気骨のない尻尾を寝かせるには十分である。まっすぐだった「△△」がたちまち、「あの〇〇さんが選んだ△△」へと倒れる。
美味いパンを焼くパン屋の話なら、それでもいいと思う。でもこれは詩と詩人の話である。そしてグッドでもベターでもない「ベスト・ポエット」である。詩にまっすぐ触れようとするとき、それは私にとってノイズでしかない。
私の友人に、「この夏のマストバイ特集」という見出しをみて、ファッション誌を読むのをやめた人がいる。マストだとかベストだとかの思考活動から、詩だけはせめて、いちばん遠いところにあるべきで.........
それでもどうしても道先案内が必要だというのなら、横の目次からバックナンバーを開いて、ピンとくるものを一つずつ見ていくといいと思う。
タイトルが妙だなとか、ペンネームが面白いとか、なんかいらっとするとか、ムラっとするとか、そんなので心のままにクリック、読んでみたらいいと思う。
いいなあ、と思っても、やだなあ、と思ってもいいと思う。「よくわかんないけど、なんかこれ、いいなあ」とか「メチャクチャ腹立つけどどうしても気になる」というものがあったら、その場所にこっそり旗を立てておくといいと思う。りっぱな旗でなくても、きっと何かの目印になると思う。
詩があるとき、そこには詩情がある。私が惹かれるのは詩でもポエムでもポエトリーでもなく、ましてやポエットなどでもなく、詩情そのもの、こんな言葉はないかもしれないが「詩精」と呼べるものである。
グッドなポエムやベターなポエトリー、ベストなポエットについて、語ることはできるかもしれない。でもそれは私のしたいことではない。私がしたいのは詩精について想い、語ることである。そしてそれについて語るための言葉を、私は持たない。
というわけで、ベスト・ポエットについて書いたり読んだりするよりは、公園のベンチでパンでも食ってるほうがずっと楽しいと私は思います。