これから詩を書いて朗読を始めようとするあなたへ 大島健夫
2021年11月23日
「これから詩を書いて朗読を始めようとするあなたへ」
「殺す」と言う人を恐れるな
本当に人を殺す人は、殺すとは言わない
マッチョな人を恐れるな
臆病者は筋肉をつけたがる
ストイックな人を恐れるな
自制心は大切なものを損なう
過去を語りたがる人を恐れるな
それに頼って生きているだけだ
家族や仕事を誇る人を恐れるな
運がいいだけだ
「それは詩じゃない」と言う人を恐れるな
気にする暇があったら詩を書け
「生きて」と言う人に気を許すな
無責任なだけかもしれない
体型の崩れた人に気を許すな
怠け者なだけかもしれない
破天荒な人に気を許すな
才能がないだけかもしれない
過去を語らない人に気を許すな
語れないほどすさまじいのかもしれない
何も持っていない人に気を許すな
そんな人は考える時間がある
「いい朗読だったよ」と言う人に気を許すな
いい朗読だから何なんだ？
「恐れるな」と言う人を恐れるな
その人は、恐れ続けているのかもしれない
「気を許すな」と言う人に気を許すな
その人は、何にでも気を許してしまっているのかもしれない。