腐日記・第四回 アレクセイ渡辺
11月8日 悲劇面した喜劇
雄々しい悲劇を生きたいと思っていたが、奇妙な喜劇を生きていた。
いつか、そのうちというあてどもない貧しい企みが私をドツボにはまらせて、腐らせる。
昔、天才を気取る凡庸な変態だった。中学生だったあの頃、私はヘッセのデミアンに憧れていたけど、そういうキャラでいたいという憧れは、私をリーダー格のいじめっこから、いじめられっこに転落させた。私は他人の人生の導き手になったことはない。導かれたことは何度もあるが、
現代は導き手にあふれているか。
11月17日 腐日記デミアンについて
デミアンという小説は短い教養小説で、主人公の少年がデミアンというある意味超人の少年に導かれて成長するという話である。デミアンという少年の神秘的な完全性はこの世には存在しない理想形である。
当時、12歳だった私はデミアンのような人間に成りたくて、いじめっこから足を洗った。当然だが私は、いじめっこから、いじめられっこに転落した。
要領よく生きるには文学が邪魔をした。私はドストエフスキーの地下室の手記の主人公のような嫌われものになった。カーストは最底辺である。
私はそこにいるのが苦しくて私より弱いものを再びいじめ、周りから感心を買おうとした。私は道化じみた変態を演じた。姑息に。いつか世界に復讐することを夢見て。
11月22日 腐日記
その頃は中二病という言葉はなかったけど、中二病のはしりではあった。その頃には後で考えるともう統合失調症は発病していたと思う。
高校でも道化じみた変態を演じた。私の家に友達が来ると、その前に文学書を急いで隠した。
なぜか?内面があると思われるのが厭だったのと、福島には、大した気して、という言葉があるが、これは福島の大衆のルサンチマンなのだが、その標的になるのが怖かったからだ。
11月22日 腐日記2
文学に浸かればただではすまない。友達が言っていた。昔。全くその通りだと思う。