「時代」恭仁涼子

2022年04月23日

ねむくてたまらない時に
車の轍をなぞっている。
音はできる限りシャットアウトし
視界だけで
凹凸を舐めるように
なぞる

まただよ
余計なもん降らせやがって。
愚か者と叫び出したくても
そいつが死ねば
なんか色々な人も
一緒に死ぬ仕組みになっているらしい。

死ぬなんて
ねむることと
ばかばかしさを天秤にかけて
母親のお腹の中にかえるってだけだよ。
まただよ
何もないと
錆びた花が嫌と言うほどに降ってくるよ。

だけどそれは
自ら死を選んだ人のはなし
愚か者と
消えたみんなと
私も同じ成分で成っているのだから
やっぱ自ら選ぶにせよ
誰かが選ぶにせよ
ストレートに、ダメです。

ねむくてたまらない時に
見えない轍ほど
遠くに行ける場所もない。 

とか
ねむいと本質が見えてくる
(ような気分になる)
おまえはわたしのともだちだろ
ふざけやがって!





恭仁涼子