「高円寺の夜」湯原昌泰
2025年07月31日
三階で
煙草など吸いながら
コーラなど飲みながら
今年の夏は暑い
俺たちを殺しにきていると
ふと話題は蓮の話になり
蓮の花は開く時バサっと音をたてる
音とはつまり言葉だろう
言葉を話す花なんて蓮くらいだ
など話し
茨城のそれも県南
日本一の蓮の産地に生まれながら
その音を聞いた憶えがない
いや、気にかけていなかったのか
あまりにもありふれて
恋人の言葉のように
家族との会話のように
僕は無意識だった
ならぬものはならぬのだ
ふと窓の外に目を移すと
稲穂色の月とともに
中央線が走っている
あの電車を乗り継げば
やがて故郷にたどりつく
自信とは自分を信じること
信じるとはつまり、待つということ
あらゆる勝敗に負け
どん底で
金もない
それでも自分を信じるか?
信じやすいものしか信じられないか?
あまり笑わない子ですねというと
あなたが笑わないからでしょうという
ガールズバーの客引きの子のサボる
スマートフォンの光で輝く
高円寺の夜