「鳥」稀月真皓

2025年09月15日

囀る君は既に鳥だ
空の青に溶け
森の緑を解く君は
既に鳥だ
なおも鳥になりたいと願う君は
何を求めているのか

風の伴奏か
木々の喝采か
冴えた月明かりに
瞼を伏せて
宇宙の語りに聴き入る翼
羽ばたく君は既に鳥だ

君よ
天の琴線となる一筋の銀であれ
琴に触れる私は既に詩だ 
なおも詩になりたいと願う

君よ
天の琴線となる一筋の銀であれ
そして私は震える魂になる

  吟じるあなたは既に詩人だ
    人の波に溶け 
    街の青を解くあなたは既に詩人だ     
    なおも詩人になりたいと願うあなたは
    何を追っているのか

  ネオンの声援か
    雑踏の拍手か
    冷えた無関心に
    口を結んで
    社会のつぶやきに染み入る声色
    詩を詠むあなたは既に詩人だ

あなたよ 地上の涙腺となる一編の金であれ
涙をついばむ私は既に鳥だ
なおも 鳥になりたいと欲す

あなたよ 
地上の涙腺たる一編の金であれ
そして われらは共鳴する 





稀月真皓