「日常を弔う」大井悠平

2026年01月21日

そうですね、荷物を下ろしましょうか。
ごちそうさまです、積み上げたものはちゃんと隠しましたか。
私のできることは、問いかけることばかりだったけど、
それはあなたに届くのだろうか。

あちらのお城が落ちました。
こちらのお城に住みましょう。
こちらのお城が落ちました。
そちらのお城に住みましょう。
腐っても泰平の世、
食う寝るところに困らない。

あちらの大将につこうかしら。
こちらの将軍につこうかしら。
どちらかに肩入れしなきゃならない時は、
どちらからも逃げなきゃならない時。
腐っても泰平の世、
隠れる場所には困らない。

そうですね、攻めたり守ったりしましたよね。
ご覧なさい、あなたはあなたの役割を果たしました。
私のできることは、問いかけることばかりだったけど、
それはあなたに届くのだろうか。

無理に団結しましたか。
無理にひとりぼっちになりましたか。
一人の次は百人で、
百人の次は一人ですか。
三人くらいで如何でしょう。

独りよがりに決めましたか。
大家族で押し切って決めましたか。
一人の次は百人で、
百人の次は一人ですか。
三人くらいで如何でしょう。

うっとりすれば命取り、
白けてしまえばフヌケと言われる。
すんでのところで奈落の底の
行列の果て、行進の先、
冷めた顔して馬鹿騒ぎする
この群衆と流れ行こうよ。

そうですね、私は問いかけることしかできなかった。
また今度、あなたに届けることにします。





大井悠平