「ハイリゲンシュタット」大井悠平

2026年03月16日

さよならはさよならでしかない。
さよならはさよならでしかない。
俺はお前に別れを告げたにすぎない。
冒険の終わり 物語の果て
見出したものはない。
語るべきこともない。
さよならはさよならという言葉でしかない。

さよならはさよならでしかない。
さよならはさよならでしかない。
見出したものはない。
語るべきこともない。
だけど、俺の胸に宿るひとつの予感。

奇跡よりも日常を。
俺は奴隷の絶望も王の希望も信じはしない。
奇跡よりも日常を。
俺は奴隷の希望も王の絶望も信じはしない。
奇跡よりも日常を。
天国の頂から 地獄の谷底から
そんな所から見た景色を俺は信じはしない。
奇跡よりも日常を。

どうか信じる者が足元を掬われることがありませんように。
真実と正義の上にあぐらをかく時代は終わってしまった。

さよならはさよならでしかない。
さよならはさよならでしかない。
見出したものはない。
語るべきこともない。
だけど、俺の胸に宿るひとつの予感。
正しいものがなかったとして、
美しいものはあってほしい。
美しいものがあってほしい。





大井悠平

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