「一人称」yellow

2024年04月01日

ずっと昔から
もやもやしてた。
何度目かの
暗い
ドロドロした衝動を
繰り返してようやくわかった。
さみしさは、
霧雨の夕暮れは、
余計な事まで
考えさせる。

娘。
女の性。
妻。
母親。

全部手に入った
欲張りな私は
そんな自分達を
否定したくて
認めたくなくて
カッターを腕に当てた。
いつもそうやって
やりすごした。

男とか
女とか
どうでもよくて
奥さんだとか
娘だとか
母親とか
そんな目で見られたくないだけ。
カッターは
そんな自分達を
切り離す道具だった。
本当の私はそうじゃない。
ただ一つの「個」であり
ただ一人の「詩人」でありたい。
私だけの顔、声、身体。
私だけの言語。
時には
「僕」にも
「俺」にも
なりたいだけ。





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