「ハリーの不思議な自慰」 馬野ミキ

2022年10月10日

ハリーはその日朝から十時間しこった
しこり続けた
おおよその社会人が一日働くぐらいの間に
二度射精をし
そのあとに出そうになったなみだは、結局は出なかった
それは長い時間をかけて、己自信を労わる慈しむという類の行為でもあったし
また何かをずっと許せないということでもあった

ハリーは何を許せないのだろう

「もの」は十時間丸々すっかりミニのまましょげていたが
脳は違った
追い求めている
興奮したがっているー

相反するもの相反するもの相反するものを集めて
出来得る限りの矛盾を張り巡らせる
膨らんだ風船が爆発しそうになったまま、それを維持し続ける
なぜか?
知るか糞っ

おおよその社会人やその子どもたちが本日三度目の食事をとるとき
ハリーは今日初めての「めし」にありつく
もともとの半分の程になくなった歯の隙間に、レトルトのカレーライスの米粒が上手に収まる
まるでもともとそこが米粒たちの棲み処であったみたいに、蜂の巣に蜂が帰るように収納される

勿論、ハリーはそれをつまようじですくい出し
食道を通し、胃袋にしまう
その後に乱暴に歯を磨いて
徒歩五分のコンビニエンスストアを目指す
単なる少し度が過ぎた酔っ払いに戻る為にだー





馬野ミキ