「味噌汁」9オビ・イルテッシュ

2022年12月06日

あんたの優しさはタバコのヤニになって
黒い肺で耳を噛まないで

暗い部屋
ネギを切って大根を切って
湯だった鍋にまな板から包丁で入れる
その間に
何杯、焼酎飲んだ
からから窓を開けて薄いカーテンがなびく
青いガスの炎がぼうと強くなって
夜風が冷たくなったら
後ろからきつく抱きしめる

逃げられそうに無い夜が嫌い
マンションの前を通る自転車をふたりで嘲笑う
心底夜が明けない
星は綺麗だと

肩に乗った手を
柔らかく掴んで
カーペットへ置く
「味噌、入れなきゃ。」