「性教育と子ども食堂」石渡紀美

2022年09月02日

娘と入った子ども食堂に子どもはいなかった
中年以上熟年未満の男女グループがテーブル席を埋めていた
カウンター席のスツールは娘には高かった

―ここ、いいですか?
一人で四人掛けのテーブルに座っていた男性に相席を頼んだ
―どうぞ、どうぞ
―ありがとうございます
男性は愛想よく続けた
―ここも空いてるよ
娘に
自分の膝を指して

こういう男がいるかぎり
この国の性教育は
どこまでいっても息子たちにコンドームをつけさせることが
最終目的にしかならない
母たちは息子たちに
性加害者にだけはなるなという
否定形の圧力をかけることしかできない

夫たちが食器洗いをするのは
妻にセックスしてもらいたいからだ

「してもらう」「やらせてあげる」
以外のセックスを知らない両親から生まれた子どもたち
そのうち子どもが生まれなくなって
性教育が必要なくなる日が来るかもしれない
子ども食堂にも子どもは来ない