「最初から空っぽだったロストバゲージ」 蛇口

2025年01月13日

還暦少年と
60歳の誕生日のイベントにタイトルを付けたが
少年というか子どもだと思う
子ども扱いに甘んじている
古くなった家の修繕を今年したが
俺に一切相談はなかった
両親が勝手にしている
まあ金を出すのも両親だが
家の呼び鈴が押されて誰もいなかったから
玄関から外に出たら
外にいた父親に
外に出るなと一喝された
外で人に見られると何を言われるかわからないと
平日の昼間だから
透明人間にならないといけない
母親がやっている草むしりも手伝いできない
息子は基本外に出ないほうが都合がいいようだ
家のすべてを両親がやっている
俺の出る幕はない
意見も求められない
甥っ子に何も渡したことがない
誕生日のプレゼントとか
班になっている家の集団でやる草刈りも
高齢の両親のどちらかが行っていた
俺が行くという発想はないようだ
もっと俺をかかわらせよと口にしようかと思うが
冬にトイレの二重窓を器用につくってしまう父親を見ると
まあ静かにしておこうとなる
何もできない息子として
両親が眠りについて
深夜
スマホの無料エロ動画を観ながら
マスをかいた精子が一階の和式トイレの中央部の小便が溜まるところに落ちていく
一回も本来の目的を果たしてあげられなくてごめん精子と思う
俺ができることはこれだけ
無力だ
女にまったく相手にされないわけだ
男としてのフックがない
下書きメールを見る
SEXというタイトルがある
2018年3月11日につくっている
中を見てみると
2014年4月19日の猫道スポークンワードスラム
一緒に行った女の子とセックスした
そのあともう一度したがそれで終わり
2014年8月17日
阪神タイガース岩貞祐太投手先発初勝利をラブホテルで見届けた
その一回で終わった
2015年12月29日の馬野ミキ詩と惑星打ち上げ
昼間に新宿の旅館的な古いラブホで最後まではしなかった
その一回だけ
このときは50代になっている
そして
2016年4月17日の進撃の詩人
昼間に新宿ゴールデン街で500円ワンコインノーチャージの
イベントをやっていて
酔っぱらって
夜のイベントの狐火を観る前に店を出て
彼女の部屋でセックスをした
彼女のマンションに向かう電車の中で彼女が抱きついてきて
バカップルだった
全裸で彼女が寝ていて俺はちっとも睡魔が訪れなかったから
記念に寝ている彼女の安らかな顔とおっぱいを
スマホでこっそり写真に撮ったら良かったなと今でも思う
翌日、一緒に家を出たら大家さんに会って
大家さんとうまくやってたのにと彼女が不機嫌になって
あんまり俺、歓迎されてないなと落ちこんだことを鮮明に覚えている
その彼女にも案の定、未来が見えないからとすぐにフラれた
2016年4月は翌々日の19日から
両親と沖縄の宮古島に2泊3日で旅行して
のちに広島にも行ったのだが
初めて処方された強力な睡眠薬があっという間に効いたのだ
50代のセックスはだから
2016年4月17日の一度だけ
もちろんこの俺にしては
40代最後からの怒涛のSEXも膣内射精は一度もしてない
射精しなかった
まあ心の満足だけ
2016年4月17日から今日までシロウトとのSEXはない
プロとはある
コロナのときにYouTubeの関連動画で出てきた
まりてん
とは
本当にコロナの暗い気持ちを明るくしてくれたので
会いたいと
ホテル代込みで10万円くらい
150分コースで
セックスはなく有名人と会った感じでひたすらプレイは少なく
話をした
そのまりてんが
講談社から本を出すと言う
俺の憧れの出版社
講談社
いいな
コロナ明けに恋愛模様を経験したいと
ガルバでやっぱり誕生日オリシャンとか注文したから
2本
最初は生まれて初めて開けるシャンパンだから楽しかった
10万円以上使った
ふぐのコース料理に行けたのは思い出を上書きできて良かった
その女性は地下アイドルになった
歌と踊りをがんばっているみたい
50代から還暦へ
女として見てくるのは禁止の貼り紙をやぶり捨て
もったいなくて切れないくらいの女性たちを抱えてみろ
もしくは抱えきれないひとりを








「蛇口の存在しないジャグジー」より転載


蛇口