「Beer Time」馬野ミキ

2022年09月06日

別れた中三の息子、実家の母とは連絡をとっているようで
俺には連絡を寄越さないがうれしい
ライブを終えて
恋人と家に帰ってきてえっちをする、というのは自分のデフォルト、基本であるべき概念だ
それが久し振りに叶った
ほんとうに久し振りにだ
僕たちは愛し合っている
互いに互いを触り触られたがっているし
それを気持ちいいと感じている
他の人に行使したら僕らのやっていることはセクハラだろうパワハラだろうハラハラだろう差別だろう暴力だろういじめだろうドМ性感だろう戦争だろうスーパー銭湯だろう集団自殺だろうその他でもあるだろう
だけれど
二人の間でそれがなされる時、
これは「愛」だといっていい
俺の顔を切り取ったLINEスタンプを作り、恋人に送る
俺の顔が二人のLINE間を飛び交う
いちゃいちゃしている

業務スーパーにちゃりんこで買い出しにいく
すれ違うすべての家族連れの幸福を一秒くらい祈る
家に帰ったらまたオンラインの人殺しのゲームの続きをするだろう
そんな僕のこともあの子は愛してくれる
それしか知らないみたいに君はそれを常にぼくに差し出し魔法のように明け渡してくれるのだ 






馬野ミキ