「MotoGP 2023」ヒラノ

2023年10月15日

シグナルが消灯

全車一斉にスタート

その瞬間からペダルをベタ踏み
ウェットでもドライでもどっちでもいいよ、セックスじゃねーんだ、用意したタイヤはこれだけ
戦争は急には始まらない
徐々に徐々に加速していく
言葉は願い、詩は祈り
俺の性格はカバの様に獰猛
むき出しの感情、浅間山荘の残像

邪魔なレースクイーンはパラソルごと轢き殺すキャノンボール

外から内に攻める第1コーナー

俺はイケイケのライダー
下町上野のフランチェスコ・バニャイヤ
排気量765cc、4ストローク3気筒エンジン、130馬力の機体に囲まれてる

俺は普通自動車免許、赤の電動ママチャリ立ち漕ぎで無理ぐりエントリー

スポンサーも肩書きもねぇ
放映も配信も投げ銭もねぇ
それでも吐き出す高純度のタイヤ痕はエコロジー、だろ?

聴いてらんねぇ、見てらんねぇ、色恋の話で半周遅れ、自傷行為話で一周遅れ、お友達作りの時点で即切り捨て確定
今ってそんな時代かよ?書くべき事が他にもあるだろ

品がねぇな、お前のスタイルは与謝野晶子か樋口一葉それとも瀬戸内寂聴?いいんだぜビッチ、もっと噴かせよ
答えろブスと禿げ上がったブレーキばかりのオカマ野郎
出版?通院?書数?知識量?コネクション?うるせぇよ、チンベルじゃ届かないから「クラクション!」って俺が怒鳴るからそこどけろ

俺の汗と涙を描いた文字っていくらになんの?
スタンドから野次が飛ぶ
「ブックオフで1円!」
「そんなのいらねぇ!」
「黙って漕げよ、息が臭ぇ!」

ポンコツライダーは誰かのマネして腹一杯の自称ライター
お前の表情をミラーで確認
てめぇは少なくとも2周の遅れ、遠慮なくまた抜いてくぜ

昼間のFMラジオの誰だか知らねぇパーソナリティー調な語り
漂う素人のなんちゃってエンジン音、べしゃり?廻し?芸能人気取り?ブンブンブンブンうるせーな

マイクのつもりがマフラーでした
火傷で手の皮はベロベロ、その手じゃペンは握れねぇじゃん

俺にサドルに座る暇はねぇ常に前傾姿勢、全力でペダルを漕ぐ
マリオカートよりえげつないショートカット、芝生のど真ん中を突っ切りブっ刺す

ルールも知性も行儀もねぇ、走ったコース、ウェブにURLを湯原という彫師にまた彫ってもらう

書き残した秘蔵ノートと一緒に火葬とか勘弁、クオカード1枚にも満たないお前の肖像権

えーっと、やたらと偉そうな言動のあんたは誰なのマジで
ごめんな、のろまは置いてくぜ

俺が生きた時代の俺が見た景色
善悪二元論だけの退屈なデッサンで何を描けるの?
悪魔がいなけりゃ神様もニートだよ

書き残したいと願うからこそ勝ち残る
恥、痛み、喜び、悲しさ、虚しさ、エロい事までもうなんでもアリだ
なりふり構わずサーキットでワガママに振る舞う
媚売るのが好き?お前は詐欺師か不動産屋か?辞めろその悪趣味

コーナーの度に寄せて鉛筆みたいにガリガリ削る
血圧に比例する筆圧、強く濃く真っ黒でドロドロ、口から吐き出す俺のガソリン

前にゃ行かせねぇ、お前じゃ抜けねぇ、周回数とラップタイム、リリースのタイミングつきまとう責任
秋刀魚のワタ、焼き芋の皮、ネットでイキがるカスに享受してやる大人のやり方

全部喰ってやる

言葉は排気ガス、大気と混じりすぐに消えて無くなる
この2年、俺が撒き散らした言葉は不思議と数ヶ月先の事象を言い当てた

ボールペン右ブレーキをガッツリ握ってジャックナイフ、あんたの記憶にピットイン
まるで街で邪魔なババアのママチャリ
3流ライダーは俺を敬遠、嫌われ者でけっこう絶交でもいいよ?
色眼鏡、刺激が無い奴とはつるまない
泣くか、笑うか、ただ黙って流されるのか、それでも立ち向かうのか

綺麗とか可愛いとか、そんなの振り切った、寂しくないわけ無いだろ?無謀なハンドリングはただの強がり、そうでもしないと俺みたいなのは前に出れない

向い風で最悪、でもそんなもんでしょ?ずっと立ち漕ぎ
きわどいライン取り、各種イベント、施設、ブース、馴れ合い、全部ブッちぎる

ピットクルーは実は上辺だけの付き合い、マウント取りたいだけのアマチュアライダーはコンマ数秒の会話ですぐ捲れる

能書きと能無しで待てども起きない村社会の新陳代謝
息詰まる展開どころか行き止まりマンネリズム負のスパイラル

綺麗事だけじゃスピードは上がらない
ノートを閉じたままじゃランキングは上がらない予選敗退

これはライセンスじゃなくセンスの問題、着いて来れるの?次のレースで待ってるよ

俺が大型二輪免許取るまでの間だけれど
(そんな予定は無いけれど)





ヒラノ