「笹目橋BoysLover」馬野ミキ

2021年09月22日

「笹目橋BoysLover」


手書きのメッセージで溢れた
あのスクラップの 
置き場を抜けたら
MDの音量をあげて
生きている人はもういないというような
街は
バックミラーの彼方





私たちは
笹目橋へ侵入する





セカンドベースには
透明ランナーがたまってて
次に誰かがホームランを打ったら
十三点入る

海まで連なる鉄塔は
きみが踏む
アクセルと連動して
その位置関係が
かわって
真夜中に
とても背の高い草のなかを
手をつないで
二人でいきたい

ショウリョウバッタの赤ちゃんたちが
いっぱいたくさん
月に飛んで
私たちは
立入禁止の水門のバルブを開く

そしたら誰かが太陽にホームランをあてて
十三点入る
わたしがあの写真のような 
とても可愛い女の子だったら
その夢は叶ったのかなって
笹目橋を渡りきる時、きみを想う
ガスタンクに反射する ひかりにめをとじて。







馬野ミキ