「ことあたし共」しせいそうせし

2022年11月11日

『子供の肉は柔らかくて、飽和した脇腹とか、膝の軟骨が愛おしく思い、人間を覚えないでほしいと思った。
ただの草原を下っていた時、凪いだ知らない草に足を刈られる。
そこで膨らむ血は流産した母親の、私はいなかったそこには、悲鳴しか聞こえなくて、それは誰のもの?
我が子を街路樹に吊り肉を削いで冷蔵庫で4ヶ月熟成させ皆で七つになったこの子を祝おう。
皮は小太鼓に、保存した頭髪はショートケーキに植えよう。
笑顔が重なり、私とお前は一生ものだね。
骨に懐く犬。
秋のやわらかい午後。
朱に染まった私達はあの子のものだから、父や母や妹や友人や先生や、汗の染みたぬいぐるみ、
止まってしまった時計は電池を換えると動いた。

愛してたよ。

いつも踏切を通るとね、喫茶店の窓から楽しげなお姉さんたちがこっちを見るんだ。
声が聞こえる。
「お前は近親相姦で生まれた子供なんだよ」
電車が過ぎる度熱い風が私を連れていこうとするけど、それって普通だよね。
手5本足5本の指をジップロックに詰めてちゃんとリュックに入れてるんだいつも。
あの子は右利きなのに慰める時は左手を使ってた。
だから左指を持ってるんだよ。
冬が来ると思うとお前が私の頬に手をかざして、おでこをくっつけて、大丈夫だよって言ってくれる気がして、
それは脆弱な私たちとお前を再確認させるような気がして、安心感と吐き気が交互に来るんだ。
私は夜中になると二日に一回お前を想いオーガズムに達するけど、隣にお前がいるものだから、愛情とか性情とかない混ぜになってしまって、
少し、少しだけね、耐えられないんだ。

じゃあね。そろそろ行くね。』