「東京に憧れはない」イチカワナツコ

2022年08月06日

大阪生まれの大阪育ち
小さい頃から引っ越し魔で
母が離婚再婚を繰り返すたびに、苗字も住む場所も変わったし、学校も変わった

19歳で就職して、すぐに一人暮らしを始めた
できるだけ実家から離れたくて、真逆の方角に家を見つけた。(2回目の離婚の後に新しいパートナーを見つけて、どんどん女化していく母へのささやかな反抗だった)

小さい頃に引っ越しを繰り返したせいか、引っ越しに対する抵抗感が全くなく、むしろ楽しくて一人で10回以上の引っ越しを繰り返した。彼氏と同棲するためだったり、別れてまた一人暮らしに戻るためだったり、単に居場所を変えたかったり。ほとんど府内だけど、大阪を飛び出してリゾートバイトをするために、寮暮らしも経験した


ところで
大阪人は東京の人が好きでないと言う
よく海原やすよともこがネタにしてるようなこととか、敵対心かな。。。なんとなくウマが合わないと感じたり。いや、単に喋り方か

私もそのうちの一人で、そんな私が東京で暮らしたのは、ほんの2週間ぐらいだったと思う
リゾートバイトから次のリゾートバイトまで少し期間が空いてたので、その間を東京で過ごした

時期が真冬だったこともあるが、その時の自分の状況も相まって「心も身体も芯まで冷える」が私の中の東京の印象
街中で当時付き合っていた彼氏に、大勢の前で突然思い切り平手打ちを食らったとき、みんな見て見ぬふりだったことも理由の一つ

大阪だったら誰か声かけてくれたかなー
結果論だから分からないけど、一人くらい、おばちゃんとかが「あんた、大丈夫?」と聞いてくれそうな気がする

表参道とか吉祥寺
渋谷のスクランブル交差点
ばかっぴろいUNIQLO、あとは忘れた。色々連れて行ってもらったけど、どこも圧倒される面積と人の数、電車の中でさえ最先端を感じさせる雰囲気、クリスマスのイルミネーションなんか嘘みたいにきれいだった
でも、私の目にはすべて灰色に映った


だから東京に憧れはない
ただどうしようもなく恋しい気持ちがある

それはきっと
誰もが持っているような持っていないような、捨てそびれたラブレターとか、忘れられない人が住む街とか、叶わない夢が叶うかもしれない希望を孕んだキラキラとか、昔の曲を懐かしむ時間とか、ビルの地下に蠢く寂しさとかが「トーキョー」という語感に含まれていて、心のどこかで探しているものだから

そして安室ちゃんも歌ってた
逢いたいひとがいる
それが私のトーキョー

最近そういうことに気づいて
少し東京を好きになった











イチカワナツコ