新納 新之助、かく語りき

2021年11月09日

※このシリーズは、ぼく(馬野ミキ)が新納くんとのLINEでの対話にて、新納くんについて思いつく単語を羅列し
新納くんがそれについて全部、返答しく様子を記録していったものです。

前回 前々回


「上京物語」

ぐるりと、ときにギザギザに、二年半、歩き疲れて草の上に寝るよな旅から欲を具現化してやろうと、東京に留まることに決めたのは、人が多かったから。エネルギー。その渦に巻かれたかった。
肌に合ったのは新宿。
ゴールデン街、
三丁目、
二丁目、
東口。
そこから新大久保。
ぼくは北新宿で居候を始めた。
僕は本を出版したかった。
ひょんなことからめるくまーると出会い、
その頃は東中野のマンションの2Fに居候してた。ひょんなことから晶文社と、話にはなったが、
その頃は東京都ではなく埼玉県に家を借りるようになっていた。
契約事が飲み込めず、放置したまま、太田さん、元気にしてますか?
いま、
どんな旅をしているんだろう?
で、
なぜ旅に出たのか。鹿児島を、実家を、故郷を、離れたのか。
いや別に、鹿児島はいつだって鹿児島だし、
実家はこだわるほどの執着もないし、墓もいづれは散骨して終わらせたいし、
故郷は地球なわけだし、
愛国心を持つなら国家ではなく地球にもて と言ったジミヘンの気分わかるし、
今、
僕はコロナ騒動で延期したメキシコポエトリーリーディングツアーに向けて体勢をつけているところ。
トライブからトライブへの旅。
あなたの水はどこからきていますか?
の、
流域、ようは地形に基づく旅。

仲間がつくってくれた手作りの詩集が88冊。
すると、国境は消えるんだ!わお!

次回のお題は「焚火」です。



「焚火」

自由。俺にとって。直火で火を焚けるところは自由です。
いつのどんな、ときでも。

灰の始末。移ろいゆく。移るだけ。ほんのちょっと、移るだけ。

水の流れに切れ目はなく
吹く風に切れ目はなく
時の流れに切れ目はなく
この命に切れ目はなく
このぼくに切れ目はなく

夜明けか
つぼみから朝に
移ることら花に
移ること
何にもないから何かがあるに
移ること

でももうもどれない

移ること

ほんの少し、
移ること

それが今あること

次のお題は「元郵便局」です。



「元郵便局」

庭にはモミジ、キンモクセイ、アジサイ、ツツジ、グミの木、ケヤキ、に椿、が居てくれている。ザクロは何年か前の台風で倒れた。
ニワニワニワニワトリがいたがついこのあいだそのうちの一羽の埋葬を済ませた。ネズミも2匹埋まっている。あとは鶏小屋があって未使用の井戸があって刀をつくるためにノイによって仕立てられた炉がある。
家賃は45000円。一月分ね。
そうそうこの前ネズミがゴキブリホイホイ的な強力粘着シートにかかって、それは煙草を吸っていた俺からほんの1mほどのところで、そこでヘビがかかったネズミを丸呑みにした。そう。客人がヘビってこともある家です。

2階の1角には水害で家を失った5人家族の荷物。家財道具。生活道具。
1階には電話室と開かずの金庫があってソファーが3つにアップライトのビアノが1つ。
郵便受けはノイがつくってくれたやつ。
隙き間だらけで内と外との温度はほとんどかわらない。だから夏の安眠には蚊帳が必須。
僕のこの家の夏の楽しみといえば、風呂につかりながら観る、浴室の電灯に誘われてきた蛾を捕食するヤモリの狩です。そんな家。
戦前から建っているとこの土地のネイティヴ、88歳、大木商店の婆さんが教えてくれた。自治会費を回収に行ったとき。どうりで。
崩れた土壁から現れた竹こまい、あれ、いい仕事してるぜって思ってたんだ。見えないところ細部に宿ってるんだその人の心は!

いつでもいらしてください。手ぶらで。布団はいつぱいあります。

次のお題は「子どもたち」
です。
子供は、子供が、
未来です。



「子どもたち」

大人たちは子どもたちに未来を見ている。
(ほんとだよ子どもたち)
子どもたちは大人たちに未来を見ている
(僕もそうだった、し、いまでも、僕も、子ども、でも、あるし、だから)
未来はここにある。
未来はここにある。

共にあれ。
共にあれ。

未来はここにある。
僕らも先祖になるんだ。
未来はここにある。
僕らもネイティヴなんだ。
未来はここにある。
目を逸らすな野生の私から。
未来はここにある。
重要なのは血ではなく生き方だ。

未来はここにある。

共にあれ。

えーと、次回のお題は「朗読?」です。




「朗読?」

15才の冬にギターを手にした。ボブマリーみたく小ぶりのやつ。
20才の春に旅に出た。車にはペンキで絵をかいて最初は3人でギターを持って。
金がいるときは街で唄った。その金で飲んだ。そこで即興を覚えた。
「この子のために歌ってくれ」と幼子を抱いた父親に請われ、歌ったら5000札がギターケースの中に入った。これでわかった。心でしょ、と。相対でしょ、と。
で、朗読?、でしょ?
福岡で2人が先に出発することになり、1人バイクに寝袋・テント・コンテナ1つをくくりつけ(コンテナの中身はカセットコンロだの地図だの日記だのカッパだの懐中電灯だの着替えだの の、生活用品)、ギターを運ぶヨユーがなかった。その程度だったんだ。

それからは、金がなくなると街へ行き、歌うたいにギターを借り、歌い、入った金を山分けし、その金で飲んだ。
広島のアーケードでのこと。
地ベタに座り、あぐらを組み、サンダルを打ちつけて歌う男の歌を聞いた。
僕の、ギターしばりが完全に溶けた瞬間。
僕は、こういう質だったのだと気づいた瞬間。

なぜ朗読をするのかっていうと、楽しいし奥深いしわかりやすいんだ、声は。
そしてこの夏から秋にかけても、藤岡市・渋谷区・川内村・加須市・桶川市・相模原市・秩父市、そういや秋分の夜は麻布十番の公園でもやったな、いま僕はバイクではなく朗読にまたがって旅をするようになっているんだ。

次のお題は「祭りへの参加」、です。



「祭りへの参加」

生肉が好きです。誰とでも何処ででも寝られます。毎日が祭りです。エクスペリエンス。その場その時。絶対なのです、かんちがい思い込み、込みで。

火があって。
旗があって。

思いをはせます。ここから、かつてへ。ここから、これからへ。あなたへの思い。大いなる営み。
土から始まり土へと還る循環。足に土。
声から始まって声へと還ってゆく循環。まわるわっか、大循環。
鼻水から始まり鼻水へと還ってきた循環。
それは水の旅。
水をつなぐ。
水の道なる道ながら。
ながらながらの私です。
あなたとともにの私です。

暮らすのです。みんなと。地球にいいウンチをするのです。
繰り返すのです。セークレットサークル。まわるわっかが平和です。その一部。私もその一部。
歩くのです。この二本の足で。環を結ぶこの道の上を。

あなたの電気は、あなたのガソリンは、
どこから来ていますか?
あなたの体は、あなたのその思いは、どこから来ていますか?
出会いを繰り返し続けて。

刹那です。この命も金閣寺も富士山も国境も、刹那。地球規模で。
摩訶不思議。この命も金閣寺も富士山も国境も、摩訶不思議。地球規模で。

分かち合う。

初めてだけだぜ人生は!



「おれにうなぎやおっばぶをおごる」

このお題がきて、
ミキくんは覚えていないんだなあと思った。もしかしたら、これがミキくんのスケベさ、自由さ、コンプレックスなのかしら?と妄想する俺のスケベさに気づき、さらけだしてみました。いま。

さて、お金で解決できることならお金で解決してもいいんじゃないかと思っています。(金のあるなしもたまたまだし。お互い明日は我が身だし。)
運転免許停止8年。もし金で解決できるなら買えるなら、300万円払います。しかし売ってないんだよこの場合。
うなぎは俺が喰いたかったし、
おっばぶは俺が行ってみたかった。
そういや池袋で酒飲んでおっばぶ行って電車乗って小田原行って、よのさん家でまた飲んで。あのとき幹くん一曲歌ってなかったっけ?
俺が目覚めたとき、幹くんはもういなかった。
ワオ!ブルースマンだな!って、あのとき思ったことを僕は覚えています。

誰のものでもありません。
し、
誰かのものになったこともないのです。

自然は。

次回のお題は「SNSをしないし書かない」、です。



「SNSをしないし書かない」

けど、見てはいる。確かに、ツイッターは見ている。はやいんだよ。一人一台ケータイデンワの世、画像ペロッと貼っつけてたりして具体的だし。充電、充電、充電、充電が叶わなくてイライラしたり、もはや電気が神様だし、詳しくは知らないけど電子マネーって電気がとまったらどうすんの?
そんなことを気にもせず、今年も柿の木に柿の実が実った。美味かった。

#美しい月で世界中の月を見ることかできる。上に上にとスクロールしていくと砂漠から昇ったばかりの満月の写真とでくわした。指がとまった。驚いた。その写真には添えられていた文字があってその文字はアラビア語で、そうか、日本語にしばられている詩人は日本語が通じる人しばりで閉じられているんだなあ、と。

翻訳。日本語からスペイン語へと。
翻訳。種から花へと。
翻訳。卵からオムレツへと。
翻訳。木から火へと。
翻訳。地球から柿の実へと。

閉じてんだよなあSNS。
開いていく方向性で使いこなせないんだ、その取っ掛かりも思いつかない、いまのところ俺の場合。
だからSNSをしないし書かない。

俺が会いたいのは詩になる心。心。ポエジー。

それはSNSのなかにでもあるし、鼻くそをほじるなかにも、歩いている最中にも、夢みていても、出会うときには出会っちゃうから。

さて、お題は残り2つとなりました。

次回のお題は「テレビなし」。

あと一個「全体性」があった!








新納 新之助