「レッドキング(ウルトラマン 他)」角田寿星
火山活動と怪獣の関係性について語ろうと思うが
そもそも火山とは怪獣にほかならず
その源泉は熱量であり
熱と時間のふたつ若しくはひとつだけが
不可逆な性質をもつ
ふるさとの火山をながれる七つの川は
悉く水のない枯れ川だった
雨が降ると削り取られた岩塊が土石流となって
川面をごおろごおろと転がりおちる
変容しゆく物理数式から逃げのびて
本気を出した火山に立ち向かえる人類は現存しない
この星のエントロピーは地の底に沈んで滞留し
対流し融解して熱量に置換する
つまる話が熱平衡におちいることなく
けして醒めない熱があり続けるならば
それが怪獣であり
レッドキングだ
多々良島に火山弾が降りそそぎ
溶岩は火砕流となってすべてを洗いながした
世間の意向なんかどうだっていいさ
時代に左右されない夢のために地殻は変動し
スフラン
マグラー
ピグモン
チャンドラー
そしてレッドキング
火山の目覚めはたしかに
怪獣を呼び起こした
この星における熱力学が
全宇宙ではかなり特殊な運動系であると
ウルトラマンは経験的に知っていたのだろう
レッドキングとウルトラマンの力くらべは
ウルトラマンの勝利に終わった
首投げを浴びたレッドキングは
硬い地面にたたきつけられ 死んで
土に還った
そしてよみがえる
そこに熱があるかぎり
何度でも
大河の一滴にも満たない特異点がそこにあることの僥倖に
生きものたちはよろこびの咆哮をあげる
胸の奥にあるけして醒めない熱
体内をながれるあかいマグマ
たたかい 羽をもぎ取り 食いあい 奪い
それを断罪する権利が何処にあるというのか
レッドキングは今日も暴れまわる
ウルトラマンに投げ飛ばされ 死に
光輪に身体を斬りきざまれ 死に
サクシウム光線でこっぱみじん
崖からおちて死にました 伴侶を喪ったかなしみの叫び
すれ違いさまに喉をかっ斬られ
マクシウムカノン ギャラクシーカノン
メビュームシュート ありとあらゆる光線技が
狂喜となって降りかかる
伸び縮みしながら今も流れているこれは何なのか
正確に説明できるものは古今あらわれず
時が解決するとか時代が追いつくとか
てきとうなことを耳にして口にする
だから安心してよみがえれよ
レッドキング
手のひらをかえす概念に価値観に惑わされることなく
馬鹿にされようが ののしられようが
発想という名の熱がつづくかぎり
親から子へ そのまた子へと そしてまた
よみがえり
現実という現実を踏みつぶし
そのくろい瞳が
その腕が しっぽが動くかぎり
