「レッドキング(ウルトラマン 他)」角田寿星

2026年07月20日

火山活動と怪獣の関係性について語ろうと思うが
そもそも火山とは怪獣にほかならず
その源泉は熱量であり
熱と時間のふたつ若しくはひとつだけが
不可逆な性質をもつ

ふるさとの火山をながれる七つの川は
悉く水のない枯れ川だった
雨が降ると削り取られた岩塊が土石流となって
川面をごおろごおろと転がりおちる
変容しゆく物理数式から逃げのびて
本気を出した火山に立ち向かえる人類は現存しない
この星のエントロピーは地の底に沈んで滞留し
対流し融解して熱量に置換する
つまる話が熱平衡におちいることなく
けして醒めない熱があり続けるならば

それが怪獣であり
レッドキングだ

多々良島に火山弾が降りそそぎ
溶岩は火砕流となってすべてを洗いながした
世間の意向なんかどうだっていいさ
時代に左右されない夢のために地殻は変動し
スフラン
マグラー
ピグモン
チャンドラー
そしてレッドキング
火山の目覚めはたしかに
怪獣を呼び起こした

この星における熱力学が
全宇宙ではかなり特殊な運動系であると
ウルトラマンは経験的に知っていたのだろう
レッドキングとウルトラマンの力くらべは
ウルトラマンの勝利に終わった
首投げを浴びたレッドキングは
硬い地面にたたきつけられ 死んで
土に還った

そしてよみがえる
そこに熱があるかぎり
何度でも

大河の一滴にも満たない特異点がそこにあることの僥倖に
生きものたちはよろこびの咆哮をあげる
胸の奥にあるけして醒めない熱
体内をながれるあかいマグマ
たたかい 羽をもぎ取り 食いあい 奪い
それを断罪する権利が何処にあるというのか

レッドキングは今日も暴れまわる
ウルトラマンに投げ飛ばされ 死に
光輪に身体を斬りきざまれ 死に
サクシウム光線でこっぱみじん
崖からおちて死にました 伴侶を喪ったかなしみの叫び
すれ違いさまに喉をかっ斬られ
マクシウムカノン ギャラクシーカノン
メビュームシュート ありとあらゆる光線技が
狂喜となって降りかかる

伸び縮みしながら今も流れているこれは何なのか
正確に説明できるものは古今あらわれず
時が解決するとか時代が追いつくとか
てきとうなことを耳にして口にする
だから安心してよみがえれよ
レッドキング
手のひらをかえす概念に価値観に惑わされることなく
馬鹿にされようが ののしられようが
発想という名の熱がつづくかぎり
親から子へ そのまた子へと そしてまた
よみがえり
現実という現実を踏みつぶし
そのくろい瞳が
その腕が しっぽが動くかぎり





角田寿星

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