「夏芙蓉」湯原昌泰
2026年07月31日
金色の朝に咲き
葡萄色の夜しぼむその花に
黄金鳥は囀ると
その町へ行き
その花を探せど
二輪しか見つからず
家に帰り
ふと見上げた共同便所の脇に
夏芙蓉
二号室に住む光子さんは
階段を三段登っては
息を吸い
また三段登っては
息を吐く
毎朝五時に便所に入り
いきむ声が貫通する
光子さん、臭えよ
俺が思う時
光子さんは
俺ににおいが届いていることを
知っている
明星
燃えるように降る汗
細い便
日に光る鳥の群れ
窓の外、花ひらく
夏芙蓉
