「子どもの小部屋」泉由良
2026年08月30日
時計になりたかった子どもが
今では振り子時計の部屋にいる
もう魂も蒸発しちまったっけど
一秒に一粒、泣く
それであの長針や短針は
ほそくそぞろに
錆びている 錆びて
秒針で咽を突きたかったけれど
振り子時計には
秒針が無くて
やっぱり自分が
時計にならないと
壊せない
振り子は
ゆっくり、ゆれ、片側へ
ゆっくり、ゆれ、もう片側へ
子どもは
一秒に一粒、泣く
子どもの泪は
とてもとても透明
それで
誰の目にも見えない
この長方形のなかで首を括る日の
あとも
誰も目にも 見られない
