「砂漠刑」大井悠平

2026年09月30日

存在のそれほど苦ではない重さ 
砂 砂 砂 砂
砂 の ひとつぶ ひとつぶの存在が
取るに足らないものとして、それでも
砂漠に吹く風は乾いていて、目に痛いらしい。

視線を下に向けてしまうと、
君は 人生を投げ出しているように
見えてしまう。うなだれているように
見えてしまう。誰かに頭を垂れるように
見えてしまう。見えているだけで
君は 本当はどんな人間であったのか
砂漠の上で知る者はいない。

砂 砂 砂 砂 砂漠で
前を向けば 目をやられる。下を向けば
心を手放してしまう。空だ 空だ 
空を見上げれば 良いのだろう。
強く生きようと君は 安直にも
孤独な砂漠で空を見上げる。
誰もいない砂漠で 誰かのよくある言葉を
頼りにして。
存在のそれほど苦ではない重さ
砂 砂 砂 砂
その取るに足らない重さが 
君にとって命取りだ。

もうじき陽が暮れるから教えておくよ。
砂漠の夜は重苦しいほど静からしいぞ。






大井悠平


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