「晩夏光」尾内甲太郎

2026年10月05日

砂利を走りぬけ
郵便バイクを受箱へ寄せる
安楽椅子のパジャマ
その家のかつての長
窓ガラスはすべり
網戸の陰から一本の指が伸びる
「あれはなんだ」
「あれとはなんですか」
「あれだ あれ
 電柱の横
 ひかっている二本の柱」
電柱には鴉が一羽
この角度から
風力発電の風車は見えない
「あれはなんだ」
見えない
でもこの人は
ため池のような目で
二本の光を見ている
爪でアイスクリームを掘るほど
目脂をこびりつかせた目で
受箱のとなりでは
いつも
青空の先を見てほほえむ孫が
なんでもないを箒で掃いている





尾内甲太郎

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