過去の記事

私の家には生まれた時から詩集や詩誌が溢れていた。実家の父が詩人だったからだ。私にはお友達がいなかった。人を求めているのに人との交流が不器用だからだ。インターネットがこれだけ普及してLINEやメールが日常に普及しているのに自分からそれらを送る事が出来ないのだ。
実家の父の書斎には詩集が壁一面に並び、夏休みや休日は父が不在の日にはそこで過ごした。父の書斎には学友だったという寺山修司からの葉書が額に入って飾ってある。恵まれた環境だった。眠る前に枕元に置いた詩集を眺め、今日はこれを読んだの?と父が聞かれ、うん、ここが面白くて美しいと答えると父は嬉しそうだった。物心ついた時から詩は日常にあった。
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夕暮れ時の後ろ姿を見て好きになったんじゃない
アパートの窓越しに西陽が差していて
君の顔、どんなだっけかな
わからねぇけど

窓開いてて
思わず
ひぃって
言って怯んじゃった

逆光で
柔らかい肌といい匂いの
風がふわっとふいたり
あれどんなだっけ

声の語尾が高く上がる感じで
ンフって笑うところとか
すっげぇ可愛いい

影みたいに黒い顔で長すぎる髪に絡まって
身動き取れねえなぁ
でもすっげぇいい
おまえここにいろよ
ずっと

折りたたみ式のテーブルに
置き手紙か
「ざまあみろ」
ビニールの床に髪がさわさわ泳いでって
おまえの顔どんなだっけなぁ/

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単純作業が好きだ。煩わしいあれこれを考えず、身を粉にして働きたい。わけのわからぬあれこれにうつつを抜かすのは暇だからだ。人は暇だから浮気をし、暇だから寂しくなる。紙を入れ、紙を運び、紙を折る。次第に体は熱くなり、徹は研ぎ澄まされていく。
徐々に体があたたまり、いつしか寒気を伴って、ようやくあれ、何かおかしいぞと気づく。仕事を終えたのは夜の十時だった。それから徹は電車に乗り、身震いしながら家路についた。
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待ってる
ずっと待ってる
次のそれが出るまで待ってる

待ってる
吐いてく
弱い奴の特徴を炙りだしてく

待ってる
ずっと待ってる
自らの怒りに恐れおののいてる

待ってる
ずっと待ってる
僕らの時代が来ると待ってる

待ってる
今も待ってる
本当に太い物を書いてく

待ってる
ずっと待ってる
お前より凄いととっくにわかってる

待ってる
今もわかってる
ヒラノよりやばい物は書けないとわかってる

待ってる
固まってる
今も法律に縛られてる

待ってる
ただ黙ってる

普段はこちらからの一方通行片想いで、叶わぬ恋の相手からある日突然連絡が入った。聞くところによると、バイクのバッテリーが切れてしまったらしい。その人の年齢は高齢者という世代ではないが、持病があって最寄りのスーパーまで歩けない事情がある。息が苦しくなってしまうらしい。何せ普段は会うことはおろか電話でだって簡単には話せない。この機会に色々と尋ねたい衝動に駆られるも何とか抑えて、自分が何時になら到着出来るかだけを相手に伝えて電話を終えた。
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私はヤマザキパン工場のバイトを不採用になる人間だ。
知らん車のガラスをバットで割る人間だ。
要らないベッドを焼く人間だ。
壊れる音が聴きたくてテレビを破壊する人間だ。
一人の人間を愛する人間だ。
それらをシラフでやる人間だ。
だからきいてください。

窘められた魂の墓場になりたい。
大きなグルった空気に後ずさり、人間未満の素質に振り回された人もどきを焼いてやりたい。
俺らが死んだところで鳥も食べてはくれないから、
大量の火薬で空になろうや。

執着が怒りに変わるその同じスピードであなたは縁切り包丁を振るい私の首を撥ねた。
私の首が飛ぶスピードは私が芸術ゴミ集積所にシュートされ四角にされても観測されなかった。
私の血液は人間をする為か?

「全員死ね」という日本語が好きで、
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男は部屋で一人になると
悪いことをやりがちなので
毎日順番に確認に行く
するとみんなびっくりする
プライバシーの侵害だといふ
個人情報だと主張する
或は人間の尊厳であると
そのとびらを壊して
空想の中で
きみの脳で
知らない女を画像とか動画で犯しているお前が
俺に逆切れする世界G線上の
地上で行われるほとんどの犯罪を請け負い続ける伝説のおとこという種
流線型の車を欲しがって
ずっとあたまは小5で
毎夜領地の拡大にいそしむ
ぼくはこの人たちをいためつけなくてはならない
こらしめなくてはならない
或は、慰めなくてはならない
戦場に慰問するたった一人の歌姫のやに
さあおれの胸の谷間をみて欲情しろ
流れるスリットのこの脚に欲情しろ
きみの指先はわたしに触れることが出来ない
なみだを流してミサイルのボタンを押して
...

きみ、ラブレターじゃあなかったんだね。

思い込んだら試練の道
畳×ちゃぶ台=星一徹


「サンタさんへ」

サンタクロースからの手紙は何語で書かれるのか
東ローマでギリシャでグリーンランド
トランプ氏が買えば米語か
つべこべいわず
ああだこうだいわずに
相手に伝わるように書くのが手紙だと
言われればサンタクロースは
どっかでいつかバレンタインと揉める


「視野」

角に突っ込んだ
でんでん
寄生虫のイルミネーション
でんでん
両刀遣いの突き上げる
でんでん
内側に密着するカップル
でんでん
All I want for Christmas is you, yeah


精神的になんかてんぱりが止まらず
あの例の自分の限界的底にいつまでもいたわけですが
自分の限界なんであくまで浅ー
「そこ!浅瀬ですからー!」
いつまでも足のつく場所でおぼれてるわけにもいかず
立ちましたよ
もうてゆーことはなんかもう無理なんじゃないのと目覚ましを止め
夢の中で朝という出発の準備を繰り返し
何度も目覚ましを止め
しかしふたたび急におきあがりまぶたをめくり
くるまれたままの状態で昨日のように電球にスイッチをいれ
なんとなく一番に用を足し
二番目にパーソナルコンピューターにログインする
数字を数え
メッセージを表示し
ローマ字を入力し送信し
床が傾いている常に曲がっているのは自分の首と名前のつく場所
背中から新しい文字たちがくずれおちてまたもりあがり迫る
必死でとくにリアルなのを瞬時につかまえてすこしずつ打ち込む
...

あんたの優しさはタバコのヤニになって
黒い肺で耳を噛まないで

暗い部屋
ネギを切って大根を切って
湯だった鍋にまな板から包丁で入れる
その間に
何杯、焼酎飲んだ
からから窓を開けて薄いカーテンがなびく
青いガスの炎がぼうと強くなって
夜風が冷たくなったら
後ろからきつく抱きしめる

逃げられそうに無い夜が嫌い
マンションの前を通る自転車をふたりで嘲笑う
心底夜が明けない
星は綺麗だと

肩に乗った手を
柔らかく掴んで
カーペットへ置く
「味噌、入れなきゃ。」




9オビ・イルテッシュ

悔しいことがあった日の夜
公園のベンチで
うつむいてタバコを吸っていると
エンドロールが
とつぜん地面から湧いてきた
比喩ではない
物理的に湧いてきた
エンドロールが流れるっつうことは
何かが終わった、っていうことなんだろう
それが何なのかが
うっすらとわかってしまうことが
しんどかった

いちお おれが主役の人生らしい
だから
おれの名前はいちばん最初に流れた
明朝体の白い文字は
夜の公園でくっきりと目立って
ちょっと恥ずかしい
自分の名前がのぼって
夜空へと溶けていくさまを
見つめた
見つめるしかなかった

街でときどき
地面にへばりついて
何かを必死に抑え込もうとしている人を
見かけるけど
ああ、そういうことだったのか と
合点がいった

1-1
詩であるのに、伝えたい・伝わりたい・受け取りたい・知りたい・もっと聴きたい等と思っている。「であるのに」と書くのは、私が個人的に詩をどう捉えているかということと関係が深いと考えている。例えば私は、「雨」と聞けば「傘」や「晴れ」などを連想する。「雨」と聞いて「サランラップ」や「一輪車」を連想しにくい。言葉にはそのものと他の言葉に与えられているイメージや関係性があると思う。コロケーションと呼ぶらしい。


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ずっと前、アメリカ人の同僚に、「友達の着ている服を見て〈それいいな!〉なんて言う時どういうの?」と尋ねた。彼はちょっと考えて〈SO BAD!〉だね、と教えてくれた。BADは良くない意味だけど、場面場面で反転させて強調に使うのかな。そう言えば日本にも悪友ということばがあるが、もちろん本当の悪人の意味ではない。


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円の外にいち早くアクセス出来るのは言葉だろう
「いるのかい?大丈夫かい?」
コミニュティの外、三角の外、それは森の中とも言えるかもしれないし、海の底なのかもしれない
豊洲のタワーマンションの高層階、という場合もあるのかもしれない
円が狭まってくる
こっちだって必死だよ

ここで踏ん張る

なんれにせよ、いち早くタッチ出来るのは秒速330mのそれなのだろう


三角形

それでは、いろいろな三角を見ていきましょう

机に置いた2つの三角定規
鉛筆を軸に回転させる円を描く、これを社会と定義してみると...
縁になる
気をつけてね?そこに触れると痛いみたい

私と配偶者と子供
仕事と私と家庭
父と母と相続税
家族と社会と税金
駅と街と再開発
朝と昼と夜
グッチとヴィトンとモンクレール
チンコとマンコとアソコ
犯罪と貧困と渇望
夢と現実と希望
...

ある日、男が蟹を届けた。
男は玄関のチャイムを押し、
宅配便です!
と叫んだ。
ダンボール箱には蓋がなく、毛蟹が丸出しになって
あたしに捧げられた。

あたしは毛蟹を持て余した。
どう食べるのこれ、詰み。
YouTubeで解体の仕方を検索した。
その通りにやりながら、
蟹味噌をスプーンで掬ってちゅーちゅーした。

一度海に潜ってごらん。
男があたしの肩に手をかけていう。
魚もいる、蟹もいる。
きみもきっと思うよああおいしそうだなって。
羨ましくはない?

羨ましい?
とんでもない。
あたしはおいしそうなんて
値踏みされて
消費されるのはごめんだわ。

値踏みされて消費されて解体された
あたしの蟹。
蟹を運ぶ男と
受け取り続けるあたしとの戦い。

あたしはそれを弔い合戦と名づけた。



こんばんは、椿美砂子と申します。詩を趣味で書いております。馬野ミキ様からある日TwitterのDMて叙情の惑星で詩について書いてみませんか?とお誘いが来ました。
勿論、二つ返事でOKですと返しました。馬野ミキ様とは夏に大久保のライブハウスで初めてお逢いし、私は馬野ミキ様への第一声がかっこいい、でした。その前日は日本現代詩人会の会合があり、新潟から東京の実家に帰省してたんです。歌人の秋月くんと前日新宿で逢い、明日は馬野ミキさんのライフに行くというので私も連れて行ってと便乗しました。その日地下のライブハウスで朗読や音楽...

金があればおごる
金が無いからおごれない
だから金をくれ
働く 働け 働いてくれ
みんなの楽しい世界を壊さないように
働きたくない いや働きたい
働いている
話せばわかるはず
人が嫌いな人間はこの世にはいないから




ロバートDEピーコ