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「しばりくび」「逆張り付け」「くしさし」「のこひき」「ウシさし」「車さし」「火あぶり」「にこみ」

午前0時、六条河原に置いてかれる高校生は、アタシだ。

友達が不倫相手のおっさんと、会う会わないの電話をしていたとき

急に相手のおっさんが京阪の七条駅に来ることになって

そのまま置いてかれた

「しばりくび」「逆張り付け」「くしさし」「のこひき」「ウシさし」「車さし」「火あぶり」「にこみ」

終電もないしどうにかしないと
ただ怖かった

携帯の充電もないし、とりあえず
公衆電話から覚えている番号に電話した

半年前にふられた男のコの番号なら何度もかけたし覚えてる

置いてかれたの

どこにいるの

振られた人の友達がバイクに乗って迎えに来た

ほんとうにこのバイクに乗るのか
向こうで何があるかわからないのにと言った

...

俺たちが激しくアクセルを踏みすぎる頃
季節はまた新たにはじまった
すばやくパーキングにいれてキーを抜き取り
僕たちは
どうしようすきとかたぶん無理とかについて考えた
まったく平気ではない普段の日常を正しく間違える
好きな人のとなりで夏の終わりの自分を演じて
みんな今すぐ孤独をダウンロードしよう
小川テントの寝袋をぎゅうってしながら

あぁあって思う
サイレンの音も
トラックで揺れるこのアパートも
一体どんな意味を持ち合わせるの

水面に入るときの
あのつめたさばかりが
私の身を覆い
それはどこか
混沌に似ていた

私には子供がいた
それはもう死んだけど
その子は手のかかる子供で
友達だった

私の同い年の子供は
すごく小さな幼子を残して死んだ
ビルから飛び降りて
男に見つけられて
救急車に運ばれてった

警官はこそこそと
男に言った
あれはもうだめだって
そのことを私は男から聞かされた
男は警官を非道だって言った
私は警官にとっては
それが日常なんだよって感じた

私の子供はバカで
ずる賢く
かわいくて...

別れた中三の息子、実家の母とは連絡をとっているようで
俺には連絡を寄越さないがうれしい
ライブを終えて
恋人と家に帰ってきてえっちをする、というのは自分のデフォルト、基本であるべき概念だ
それが久し振りに叶った
ほんとうに久し振りにだ
僕たちは愛し合っている
互いに互いを触り触られたがっているし
それを気持ちいいと感じている
他の人に行使したら僕らのやっていることはセクハラだろうパワハラだろうハラハラだろう差別だろう暴力だろういじめだろうドМ性感だろう戦争だろうスーパー銭湯だろう集団自殺だろうその他でもあるだろう
だけれど
二人の間でそれがなされる時、
これは「愛」だといっていい
俺の顔を切り取ったLINEスタンプを作り、恋人に送る
俺の顔が二人のLINE間を飛び交う
いちゃいちゃしている

社長が飛ぶという噂が二週間ほど前から流れていた
PCの検索履歴に「飛行 事後処理」「飛び方」という単語が残っていたとか
隣の駅のドン・キホーテで羽用のワセリンを選んでいる姿が目撃されたとか
ときどき鉄腕アトムのテーマ曲を口ずさんでいるとか出所不明の情報が回って来た
最後のは社長の世代的に口ずさむならウルトラマンだろうと思ったが
そんな軽口を叩ける空気では無かった
極端なワンマン経営者である社長に対し
面と向かって真偽を問える人間は社内にいなかった
意を決した営業部長がこっそり警察の飛行課に相談しに行ったが
既に飛んだ人間の捜索以外は受け付けていないと門前払いされ
あいつらは駄目だ給料泥棒めと憤懣やるかたなく戻って来た
いつ飛ぶのか
飛んでどうするのか
それは飛ぶ本人にすら分からないのだ
...

「濃い」

物語朗読の熱量が苦手で文字にしてきた
泥棒がおる
メロディーを変えて返されたラブレターはキモい

イメージの著作権違反
お金くれたら耳塞ぐように無視する

剣がスポンジになってしまった騎士
靴磨きの少年みたいに近づく

スニーカーを履いていても
構わず
チップのために
どんどん磨こうとするのやめてよ

カラバ侯爵夫人のスクエアパンチ

奪った言葉は消してくれ

大きく誇張して返さないでくれ

カリオストロのエンディングみたいに
プロならそっと盗んで狼煙を上げろよ



「濃厚背徳飯マシマシ傾向に課金システムが推す」

並盛りに
熱量増し増ししてくる背徳飯野郎がおる
気色の悪いラブソングでラム以外が腿に手を這わせ誘って来たのかと

剣がスポンジになってしまった騎士はパイナップルの深夜バイトで日和る
指がパチンと鳴りそうなハートで迫ってくる隊列
...

娘と入った子ども食堂に子どもはいなかった
中年以上熟年未満の男女グループがテーブル席を埋めていた
カウンター席のスツールは娘には高かった

―ここ、いいですか?
一人で四人掛けのテーブルに座っていた男性に相席を頼んだ
―どうぞ、どうぞ
―ありがとうございます
男性は愛想よく続けた
―ここも空いてるよ
娘に
自分の膝を指して

こういう男がいるかぎり
この国の性教育は
どこまでいっても息子たちにコンドームをつけさせることが
最終目的にしかならない
母たちは息子たちに
性加害者にだけはなるなという
否定形の圧力をかけることしかできない

夫たちが食器洗いをするのは
妻にセックスしてもらいたいからだ

「してもらう」「やらせてあげる」
以外のセックスを知らない両親から生まれた子どもたち
そのうち子どもが生まれなくなって
...

八月、夏、平日、水曜日
東京都港区、クソ暑い、増上寺

傍の小さな坂を手を繋いで、二人で、汗をタラタラ、テクテクと歩いて行く

「暑いね?」でも、それだけでは手を離す理由にはならない、少なくとも僕は、
僕は

あなたもそうだろうと勝手に決めつけて坂をのんびりと登り続ける
スキップにも似たステップ
「嬉しい?」「嬉しい!」
それが、本当に嬉しい
アホらしいフレーズの応酬

あなたと一緒に居られるなら、たぶんなんだって楽しいのだろうな
恋なのか?愛なんだか?わからない
嬉しいと楽しいが交錯して、とにかく愛おしい
ウケるねwww 大好き!

右手に交番、左手に公園、そしてバス停、連なる観光バスと修学旅行生、
駐車場、そして大きな塔、大きな、それはオレンジの塔

「こんなに?」 「そんなに?」 が連鎖し、大きくなり、上へと昇っていく膨らみ
...

暗渠に落ちる水のにおいに
今日一日分の体臭を思い出し
わたしたちは手早く仕事を眠らせて
坂道を下る
どこかで誰かが挨拶をしているのが聞こえる
古い鉄扉のように
今日のしめくくりを
それで宥められるはずもないのに

徒労と空腹の夜を
何かほかのもので満たそうとしたわたしたち
水やりを忘れた鉢植えに
二〇年ぶりに季節が舞い降りるような
そんな話は
やっぱり二〇年に一度しかないことを知っているくせに
迂闊な言葉を襟口から差し入れようとして
いつだってしたたかに擦り剥くのだ

駅から下る街並みには
すでに夜のくつろいだ明かりが灯っているのに
街路にあふれた「飲み込めなかったもの」たちが
坂道を流れて
不満げな襞になってひろがる
はしゃいだ声で言い換えた挨拶は
踏みつけるたびに飛沫をあげて
植え込みに差し込まれた吸い殻のように
...

この9月から抒情詩の惑星を引き継ぐにあたり、抒情詩の惑星とは何だろうかとここ数日考えてきたが、やはりトップページにある言葉、これに尽きるのではないかと僕は思う。

人間復興ー
マスクのなかの声と言葉を

ごく一般のフツー人の、胸に
通じる詩、言語、表現力を提示していこうとする態度がこのサイトの趣旨です。

このように抒情詩の惑星の指すところは文芸復興ではなく人間復興であり、そうありたいと僕自身考えている。

人間が人間たる所以は2つあり、1つは噂話ができること、そしてもう1つは嘘をつけることだと以前に何かで読んだが、なるほど人間はやりたくないことをやることができ、話を盛ってより自分を偉大に見せることもできる。
...


馬野さんから、抒情詩の惑星のなかでお薦めの記事を挙げて欲しいと連絡をいただいてから、随分とのらりくらりとしてしまった。云い訳なのだがサイトが更新される都度読んでいたわけではなかったので、大体の記事の揃いの輪郭は摑まなければと思っていたし、お薦め記事を書いたあとでもっとお薦めなものが登場していたら困るからだ。それから、他のお薦めを紹介しているひとの記事も読み直した。

私が、抒情詩の惑星で必読だと感じ入っているのは一名のみ、平居謙先生の シリーズ短小突貫へンタイ式連載「現代詩とは何かー答える」である。
平居先生のことは合評会で先生としていらっしゃるからであって、また教員としてのお仕事もなさっているからだが、この部分に於いて忖度しているわけではない。ただ、呼びやすいから、先生と付けている。
...

私にとって詩とはなにか、というお題で作文を書けとみきさんに言われた。私の詩は、他者に読ませられるれべるでは無いので、まずは作文から、ということらしい。一応5年程詩をこつこつ書いて来た身としては、かなりの屈辱である。でも、私の詩の実力が雑魚なのも確かだ。から、素直に従おうと思う。ただ、はっきり言って、詩とはなにか、ということをしっかり、かつ滔々と述べられたら、それはもう1流の文学者だと思う。中卒の私には酷なお題だ。たぶん今時漫画のひーろーとかでもやらないれべるのきつい苦行、或いは初期装備でらすぼすに挑む位の難行じゃ無いだろうか。でも、恐らくみきさんが今の私に期待してるのはそういう文章では無いのだろう。「私にとって」と付いている。私にとって。そうした文章なら、だいぶ、とても、易しい。私にと...

明日朝起きたら生きてるといいなぁ...

ライブツアーを始めたばかりの頃は
主に新幹線か鈍行での移動だった
障害者割引を駆使しながら
しぶとく、そして、図太く

ツアーを始めたばかりの頃は
20代前半だった
俺は若過ぎたのもあり
高速バス移動を極力避けてた

当時から高速バス横転炎上事故とか
多発してたし
万が一、乗車してたバスが事故って
巻き込まれたくなかったから

それでも1999年の冬頃、大阪は江坂ミューズと名称が変わる前のブーミンホールでシンセのサポートメンバーとライブした後の帰り、初めて夜行バスを利用した

あの日が初めてだった会場だけど
天井が高く、ホールも広く、照明も格好よく
何より音がよくて楽しかった
商店街の中にあったデパート
東急ライブプラザブーミンの5階
楽屋が屋上で移動が少し面倒だったけど

...

マグカップの中を泳ぐ金魚
誰の悪戯だと訊くと私だと係長
一体これはどうしたんです?
屋上のウォーターサーバーから出た
先月退職した藤山田さんが私費で設置した
あれ麦茶が入ってるんじゃなかったです?
灰皿の横に設置されていたせいか
唯一の喫煙者である彼専用だった
退職日の笑顔は真っ黒に日焼けしていた
ビーチパラソルも買えば良かったのに
餞別の麦わら帽子を素直に喜んでくれていた
サーバーは週明けに業者が引き取りに来る
水は夕立が沁み込んだのだろうと結論した
金魚については誰も口にしなかった
藤山田さんのすぐ隣にあった闇の中に
棲んでいた金魚が手にした器を泳ぐ
引き取り先を募る為にB4用紙を一枚貰う
一階のロビーに貼れば
知らない人が読むかもしれない

電話の繋がらないコールガール、処女膜はなにも捕捉しない、ガリガリの力士と三段腹のマラソンランナー、サンマの煌めきとダボハゼの貪欲さはペーソスを誘う、無免許のソープ嬢と自転車に乗れないピンサロ嬢、綺麗な大便とテロリズム、絶対に外さないタイガーマスク、黄金色の小便とリアルゴールド、老婆のパンチラ、感じない鋭い尿意、硬いゼリー、気に入らない好物、タイドプールに住む深海魚、泣きながら老爺を刺し続ける幼児、誕生日に自殺する牛、詐欺の天使、サギの仮面を被ったインコ、電車を乗り継いで江戸時代へ行く、令和のバス停で昭和行きのバスを待つ、交通事故現場でSNSに接続しながらマックを喰らう、水中で笑う赤子、暑い暑い死にそうだと鳴いている蝉たちと虫かごを振り回すトウモロコシの群れ、投げやりな弁護士と緻密な性格...

4度
目が覚めたので
4回目はパソコンをひらいてツイッターをみて彼氏のつぶやきをお気に入りに入れたら電話が来た

彼氏がサイレンとモードにし忘れたらしく「お気に入りに入れたよ通知」が いってしまっておこしてしまったようだ
失敗
午前5時半頃だったのでおきていてもいいような時間だったのでまあよかった

そのままぼやぼやと眠たい目でウォーキングにいく
涼しい
が蝉が活発に鳴いている
昨日はわりと寝付く頃は熱帯夜だったが今は寒いくらいだった
今日のお天気はなんだろう

昨日は散髪にいってきてボーイッシュなくらいばっさりと短い
鏡を見るとき一瞬ドキッとする
誰だろうこの人は

いよいよ今週末にイベントがやってきた
人は来るのであろうか?
こなさそう
閑散とした中ひびくポエム達
まあ
なればなれよ

...

一年前「抒情詩の惑星」をはじめる頃、自分は万年床にてほぼ一日ラジオを聴いているような生活であった
大島健夫くんが企画してくれた「抒情詩の惑星」創刊記念朗読会でも話したが
「抒情詩」という単語は、古溝真一郎くんが自分の詩集「キム」を紀伊国屋書店のフェアで配布された冊子にて評したくれたところから着想を得、このホームページの作成に至った
送られてくる原稿を、自分に届いた一通の手紙として読んだ
それはちょっと、贅沢な時間だったのだと思う
ほいでも掲載を見送った方や作品もあって
しかしそれらは今もデスクトップの抒情詩の惑星フォルダに収められていて
時々想う